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運命の分かれ道 ①

 由美との会話から数日が経った。その間に俺の受験結果は次々と発表され、残るは最後に受験した県外の大学の結果発表だけとなっていた。  ここまで幸運なのか、実力なのか、全ての大学から合格通知を受け取っていた。なので、県外の大学が受かっていなくても、一応浪人は免れる。  あれから。亜貴に何度も電話しようとした。だが、勇気が持てなかった。あれだけ亜貴を傷つけておいて、いまさらどのように接したらいいのか分からなかった。  俺って、結構なヘタレやったんやな。  亜貴は無事に希望の専門学校に入学が決まったと母親伝いに聞いた。おめでとう、の一言すらも伝えられない自分の意気地なし具合に嫌気が差す。  自室でPCの前に座って、はあっと大きな溜息をついた。画面に提示されている時刻を確認する。  今日はその最後に受験した大学の合格発表の日だった。もしここが受かっていれば。俺はきっとこの大学を選択して家を出るだろう。そして、亜貴とは離ればなれになるだろう。  この合否の結果は、2人の運命を左右する。そうとさえ思えた。  その運命の結果は大学構内の掲示板とホームページ上に同時に公開されることになっていた。公開時刻まではまだ10分ほどあった。  机に置きっぱなしの携帯をちらりと見る。亜貴に電話をしようか。先ほどからずっと迷い続けていた。合否の結果が分かる前に、他力本願で自分たちの運命が決まる前に、話したい。そう思った。 『ちゃんと謝って、自分の気持ちに素直に従った方がええよ。やないと、後悔するで』  先日、由美に言われた言葉が蘇る。  自分の気持ちに素直に従うことはできないかもしれない。自分がそうすることは、自分だけの問題じゃなく、亜貴を巻き込んでしまうことだから。だけど、あの日、亜貴に吐いた本心ではなかった言葉で亜貴を傷つけたことは謝りたい。  俺は手を伸ばして、携帯を掴んだ。亜貴の番号を呼び出す。もしかしたらもう出てもくれないかもしれないが。  数秒迷った後、俺は意を決して携帯の画面を押した。

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