「やぁ、青龍様は何処かな〜？」 　突如騒がしい声と足音でうたた寝から目が覚めた。 「いつもはその幅をとって邪魔な籠の中でグースカ寝てるんだがな」 　まずい、これはフェイロンと赤トカゲを連れていたホンとかいう男の声だ。 　うっかり居眠りしていたせいで、部屋に入ってくるまで全く気付かなかった葵は慌てて思わず起き上がってしまった。 「あれ？青龍様、陛下の寝台で寝てたのかな！？かーわいい♡自分のベットで待たれてるなんてご主人様冥利につきるじゃないですか、陛下？」 「……」 　囃し立てるホンの横で、氷のような目で見てくるフェイロンの視線が痛い。　 ホンとフェイロンの視線の温度差で火傷しそうだ。 「……食っちゃ寝生活羨ましいかぎりだ。それで少しは成長すればいいのだがな。グアンがお前が紫龍草を食い尽くしそうだから、紫龍園を至急拡大して欲しいと泣きながら奏上にきたぞ」 穴があったら入りたいとはこの事だ、と葵は身を縮ませた。 （こんなに立派な赤い爪があるのにっ！ここが土だったら思いっきり穴を掘るのに！！） 「まぁまぁ、青龍様にそんな意地悪言うもんじゃないですよ〜陛下」 　ホンがすぐフォローを入れてくれる。今日は火トカゲも連れていない。 　火トカゲがいないと、普通に話しやすそうでいい人そうな印象だ。 「青龍様はいっぱい食べるからお腹いっぱいになったら眠くなるんですよ……ククッ……赤ん坊みたいですけどね……」 ……前言撤回、やっぱりコイツも嫌なやつだーーと葵は思った。