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黒の章14

「は、はぁ……しかし、今の陛下の男根は、こぅ…(こぶ)のようなものもありまして、恐らくそれなりの経験のある方でないと、いや、ある方でも大出血を起こす恐れも……王露病の最中に行う性交は、朦朧としていても、相当激しいものになると言われておりますので……」 「なに、皇太子を産む名誉を賜るのだ……御令嬢方にも多少のリスクは覚悟してもらわねば」 「ユンソン殿!?」    グアンが悲鳴のような声を上げた。 「それは…あまりにも!陛下は女性を寝所に呼ぶのを頑なに拒んでおいででした!」 「朦朧としているのだ。分かるまい。」 「なんと!陛下を騙し討ちするつもりですか!?チェン殿!!あなたはどう思われます!?そんな事許される筈がない!!」 チェンは眉に深く皺を寄せ、沈黙を守っていたが、グアンが詰め寄ると重い口を開いた。 「グアン殿、これは陛下の御命に関わる事です。どちらにしても、女性が受け止められないモノを、男性が受け止められるとは思えません。ならば、ユンソン殿がおっしゃる事が、最善の策かと……」 「そんなっ……!!」 悲痛な声をあげるグアンに、ユンソンが得意げに追い討ちをかける。 「そう、陛下の御命に変えれば、陛下の嗜好など些細な事です。星見の長殿は、空の事にはお詳しいが、地上の事は分かっていらっしゃらない。国のことは私たちに任せておきなさい」  あまりの言われようにグアンは顔を紅潮させたが、反論も出来ず悔しそうに唇を噛み締める事しかできなかった。 「私の三男の娘で年頃なのがいる。念のため、他にも何人か見繕っておこう。チェンどの、それで宜しいかな?」  皇帝と血縁関係になる事を常々狙っていたユンソンは有無を言わせぬ口調でチェンに声をかける。  チェンは目を閉じたまま、ゆっくりと頷くしかなかった。  グアンは憔然とした思いでふと下を見遣ると、足元で青龍が小刻みに震えている。 「青龍様?如何されましたか?お寒いのですか?」  鱗に覆われた体だ。寒いわけはない。 (俺のせいだ……俺はこの身体のせいで分からなかったけど、いつの間にか発情期(ヒート)に入ってたんだ、きっと。 フェイロンはアルファだから、誘引フェロモンの影響をもろに受けてしまったに違いない……)  

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