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★黒の章23
では、邪険にされたのは葵を傷つけたくなかったからなのだろうか?葵の胸にジワジワと喜びが広がる。
「医者が枕元で女を抱けば治るとか言ってたような気がするが……あの女が来た時は吐き気しか起きなかったのに……今の俺はお前を犯しつくして…噛み付きたくて……たまらんっ!獣にでもなった気分だ!なんなんだこれは一体っ!」
そう言ってる間にも、長い射精が治ってなお、硬いままだったフェイロンが葵の中に入ったままゆるゆると腰を動かし出す。
「……どうしても…止められん……アオ……すまない……ハァッ……なんなんだお前の身体は……どうしてこんなにっ!」
「ぁあん!!」
堪えきれないと言ったように、もう一度深く突き上げられる。先程は嵐のようだった快感の渦が、今はさざ波のようにジワジワと押し寄せてきた。
「フェ…フェイロン……ごめんね……ん!ぜ、全部……俺のせいなんだ…あ!」
「っどうゆう事だ?」
「俺は……元々オメガって言って、なんて、ゆーか…フェイロンみたいな人を、誘惑しちゃうんだ……
俺の事お、犯したくなるのも……噛みたくなるのも……ぜんぶ俺がしてて、その……そうしてもらって大丈夫な体だから……今も……全然平気、って言うか……き、気持ちいい、しかなくて……ぁぁあん!!」
突如、中にあるフェイロンのモノが膨れあがる。
「す、すまん!いや…今のは、お前が悪い……そんなに可愛い顔で……ハァっ……ちょっと待て……ふぅ。いや、だか、あまりにも乱暴に抱いてしまった……怖かっただろう?俺の事を嫌いになったのではないか?」
「そ、それはないよ!!」
フェイロンの言葉を遮るように思わず声を上げてしまった。だって、と言葉を告げようとしてこれではまるで告白めいたことを言ってしまう事に気付いてそのまま黙ってしまう。
「……ん?どうした?」
相変わらず中のモノは大きく硬いままだが、少しずつ冷静さを取り戻しているらしい。優しい声音でいつものように聞いてくるフェイロンに思わずきゅううと下腹を締め付けてしまう。
「っう!待て!!ふぅ……わざとではないだろうな?」
「ご、ごめん!!フェイロンが大丈夫なら、ちょっといったん抜いて話そう……」
「……大丈夫じゃない。アオが大丈夫なら、このまま話をしよう」
そう言われると強く言えず葵は困り果てた。更に、それで?と続きを促されて、ますますどうすればいいか分からない。
「と、とにかく。た、多分、俺を抱いて、くれたから、熱は……治ると思う。噛みたくなるのも、しょうがないんだ。その、俺は元の世界では人間なんだけど……オメガって言う人種で……フェイロンはアルファっていう人種……みたいなものなんだけど、アルファがオメガの事を発情期の時に噛むと、つ、番(つがい)っていうシステム……えーとっ……オメガが、アルファのモノになりますよって証になって……本能なんだ……お互いの……」
フェイロンは黙って話を聞いていたが、段々と眉のシワが濃くなっていく。
「お前がオメガという人種で、俺がアルファという人種なのか?人種と言うならば、アルファは俺の他にもいるのか?」
それは、葵も思ったことがある疑問だった。
「んん……っん!と……俺の世界には、結構いたんだ……両方とも。この世界ではオメガは会ったことがないし、アルファは、フェイロンしか知らない……でも、探せばどこかに…〜〜〜っぁあん!!」
またフェイロンに強く奥を突き上げられる。
「では、お前は元の世界ではオメガという人間で、俺以外のアルファがいれば……お前はもしかしたらそいつを誘惑したのかもしれないのかっ……!?そんなの…っ許さんっ!!お前は……俺の龍だぞっ…!!」
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