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アクシデント再び 6

 僕は、色んなことが怖くて、逃げ出したかった。五藤くんに見つめられるのがいたたまれなくて、切なくて、もうダメだった。  同時に、五藤くんにせっかく会えたのに、彼から逃げ出したい自分が悲しかった。  ダメ! 泣きそう!  僕はぐるんと五藤くんに背中を向けて、一目散に扉へ向かって走った。 「は? おい!」  身体がガチガチなのに無理やり走ったから転びそうになるし腕に力が入らなくて、扉を開けるのに苦労した。  やっと開けたところで、あっけなく五藤くんに追いつかれ、腕をつかまれてしまう。 「おい! 待てって! なんで逃げんだよ!」 「やだ、放して」  表情を取り繕うことができないのに、顔を見られたくない。 「責めてるわけじゃないから話を聞けよ!」  階段の手前、腕を引っ張られた弾みでズキ、と痛みが走った。  以前倉庫で痛めた場所だ。  こんなときに、と思った直後、バランスを崩した僕の身体は階段に投げ出された。 「おい!」  五藤くんの焦った声が聞こえて、その後は、景色がスローモーションに見えて、なにが起きたのかわからなかった。  五藤くんにもう片方の腕も掴まれて。息が近づいた気がした。五藤くんがぐっと近くなった。  そして、浮遊感。    気づいたら、僕と五藤くんは階段の踊り場に重なって倒れていた。ぼくの身体は何ともなかったけど、僕を抱きしめて倒れている五藤くんの額から、鮮血が流れていた。

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