44 / 76
想いが溢れて 5
口が開いてたから、はむって塞がれる感じで。
「ん……ん?」
びっくりして目を開けると五藤くんのドアップがぼやけていた。
僕、キスされてる? え、なんで? どうして?
僕が調子にのって、自分からしちゃったのかな。
「これ、嫌か?」
唇を離して、五藤くんは僕に聞いた。いたずらを思いついたような表情だった。
僕は突然のキスで頭が痺れて、まともに答えられなかった。やっとの思いで、ふるふると首を振った。
「気持ちいいんだな。すげえ、エロい顔」
はむっと再び唇を塞がれた。
「は、ん」
五藤くんの肉厚な唇が、チュッチュッと、僕の唇の形を確かめるように、触れては離れ、触れては離れを繰り返す。
「んん……」
上手く鼻で息ができなくて苦しくて、ふはって口を開けたら、その隙を狙ったように厚い舌が入ってきた。
「む、んぅ」
それは我が物顔で口腔内を暴れ回り、怖いのと気持ちいいので僕は混乱して、快感がぞぞぞっと首から背中に伝わり、腕の力が抜けてしまう。
不自然な体勢にも耐えきれなくて、五藤くんの上からずり落ちそうになった。
すぐに五藤くんの腕が僕の身体を抱え直して、僕の股間が五藤くんのお腹にぴったり密着した。
ちょうど僕のお尻の下に硬いものが張り出していて、それをグニュって押しつけられる。
「ぅん、ん」
え、これって、これって……五藤くんの?
もう、僕の頭の中は色んな刺激でぐちゃぐちゃだった。
五藤くんにエッロいキスされてるし、お尻の下には興奮した五藤くんの分身が僕を煽ってるしで。
清潔なはずの空間が、二人分の息遣いと、繰り返される粘着質な音に占領されて。何が何だかわけわからない。
耳朶をかまれ、あっと声が上がる。ぴりっと首筋の神経がうずいた。
「ここ、感じるのか?」
「やっ、ちが……」
熱い息が耳にかかり、ぞくぞくした。僕が必死に堪えていると、五藤くんは僕のワイシャツの下からをするりと手を入れた。
「やっ……な、なにするの?」
「ちょっと触らせろ。おとなしくしてたら、今日のこと許してやるから」
ニッと口の端を上げて笑った五藤くんの顔は、すごく格好いいけど、なんていうか……「悪い顔」だった。
「やっん……」
抵抗しようにも、再び唇をふさがれ、口の中が感じやすい僕は力が抜けて、されるがままだ。
そのうえ五藤くんの手の平は、僕の平らな胸やわき腹を撫で回すから、ぞくぞくしてしかたがない。
「やっ、ああん……くすぐったいよ……」
ばっとワイシャツをめくり上げられ、今度は舌先がぬるりと胸を這う。
「ひゃっ」
僕は両手で口を覆い、上がりそうになる声を堪えた。
「なんだこれ、ピンク、つーか、桜の花びらに似てるな」
五藤くんの額に貼られたガーゼも、さわさわと肌を撫でるから、くすぐったくてしかたがない。
「あっ、傷口、ひらいちゃうっ、ん」
「しっかり縫ってもらったから大丈夫だ」
「だって、もう、五藤くん……」
五藤くんの舌は僕の胸の鎖骨から真ん中をつつつ……と、進んで、すっと斜め下に下りた。あろうことか乳首をぺろん、て舐めた。
「ひゃっ、ん」
ともだちにシェアしよう!