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好きだよ 9

「いや、だってこんな可愛い身体で……と思って」 「えっ、かわ…?」  それってどういう意味? でも、別に五藤くんは、意地悪で言ったわけじゃなさそうだった。だって、落ち着いているようでいて、その目の奥に熱が籠っているのが見えたからだ。少し、苦しそうだし。 「答えたくなければいいけど」  一瞬五藤くんが唇を尖らせたように見えたのは気のせいかな。 「……キスだけ」 「えっ」  僕はワイシャツとカーディガンを肩に引っ掛け、下半身を露出した格好のまま、両手で顔を覆った。 「キスしかしたことないよ! 他は全部五藤くんが初めてだよ! もう! これでいい?」  なんでこんな恥ずかしい格好で、こんなことを言わされてるの、僕。 「まじで、俺が初めて?」 「ひゃっ、んん、」  首筋を舐められ、身体がびくんと飛び跳ねた。  質問の答えを聞いて満足したのか、五藤くんは全身「やる気満々」な感じで動き始めた。  首の付け根を痛いくらい強く吸われた後、ぬるぬると八の字を描きながら、五藤くんの舌は鎖骨まで降りていった。

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