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広瀬には牧野の変化に思い当たることがあった。 牧野はこの部屋にあるミネラルウォーターを飲んでいた、きっとそれに何らかの薬が混入していたのだろう。 SEXしないと出られない部屋だというのだから、そこから予測出来るのは興奮剤か媚薬、その類だ。 全く、この部屋に自分達を閉じ込めたヤツは本当にたちが悪い。 広瀬は未だふうふうと息苦しさに呻く牧野を見て、ゴクリと喉を鳴らした。 ああこいつはなんて馬鹿なんだ、普通はあんな怪しいモノ飲んだりしないだろうに。 単に警戒心がないだけなのか、それとも…。 一つ頭に浮かんだ疑惑に、広瀬は知らず知らずに口角を上げていた。 「なぁ牧野…お前、もしかして俺とヤりたいの?」 「え…?」 「だから、俺とセックスしたいのかって聞いてんだよ」 露骨な広瀬の言葉に、牧野はただでさえ赤い顔を更に紅に染めた。 何を言っているのかと問うように瞳を丸くしている。 「だっておかしいだろ?お前の行動。こんな怪しさマックスの部屋にある水なんて飲んだりして、確実に何か仕込まれてるに決まってんじゃん」 「え、え…?」 じりじりと広瀬が牧野との距離を詰める。 牧野の瞳が若干の怯えの色を滲ませていることに広瀬の背筋がゾクリとした。 「こうなることをわかってて飲んだんだろ?俺とセックスできるかもって期待して!」 「ち、ちがっ!」 広瀬の言い分を否定しようとしたが、目前まで広瀬が迫ってきていることに気付き牧野はヒッと息を詰める。 広瀬にはもう先程までの牧野に対する申し訳なさなど吹き飛んでいた。 それどころか、怯える牧野に劣情を抱いてさえいた。 ああ、牧野が悪いんだ、そんな風に怯えたようなフリをして、俺を煽るから。 広瀬は自身の身体に燻る熱を全部牧野のせいにした。

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