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「ひっ…ひどいよぉ…っ」 飴色の瞳が溶けてしまいそうに潤んで、嗚咽を漏らす姿は同情を誘う。 広瀬に見られまいとベッドに顔を押し付ける牧野に、広瀬は掛ける言葉が見つからない。 「お、俺は…広瀬君のこと好きなのに、こんなの…っひどいぃ…っ」 「は、…は?」 しくしくと泣き続ける牧野のとんでもない発言に目を丸くする広瀬。 牧野が、俺のことが好き、だって? あまりの驚きに理解するのに時間がかかって、一呼吸終えてから広瀬の顔が茹蛸のように耳まで真っ赤に染まった。 「…っ」 どくんどくんと動悸が激しくなる。 自分の身体の異変に、広瀬はどうしたらいいのかわからない。 あの牧野に好きと言われただけで、こんな気持ちになるなんて、身体がこんなに熱くなるなんて。 過去にイジメていた相手なのに、自分と同じ男なのに。 「な、なんでだよっ、お前は俺にイジメられてたんだぞ…ッ」 「そうだよ…っでも、最初はすごく優しかったし、一緒に遊んでくれることが本当にうれしかった…っ」 一緒に遊んでたのなんて小学生の時だけだぞ…まさかその時から? 広瀬はドキドキとしながら牧野を見つめた。 「ずっと…っ好きだった、イジメられてもよかった…っ俺のことをみてくれるなら、」 そう言ってまた泣き出す牧野に、か弱く震えるその姿に、広瀬は胸がきゅううと苦しくなった。 そんな、なんだよ、なんだよこれ…っ! なんでこいつのことがこんなに可愛く見えるんだよ…! まるでフィルターがかかったように、広瀬の目には牧野がとても可愛らしく見えていた。 えぐえぐとしゃくり上げ、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになって酷い有様になっている顔も、それを隠そうと身じろぐ姿も全部。 今まで付き合ったどんな女にも感じたことのない、愛しさを確かに感じていた。

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