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「今更…、言われても困るだろうけど、ごめん…。今も昔も、牧野に酷い事して、ごめん」 広瀬はやっと、言えなかった言葉を牧野に言うことができた。 これで全部なかったことに、なんてできやしないことなんてわかってる、でもきちんと牧野に伝えたかった。 「許してほしいなんて虫が良すぎるよな…本当にどうしようもないやつでごめん」 広瀬はそう言うと、再び拘束具に手を掛けた。 「………」 広瀬の言葉を聞いて、牧野は押し黙ったまま一言も発しない。 広瀬の都合の良すぎる発言に怒っているのかもしれない。 当然だよな、と広瀬は苦笑した。 だって広瀬は牧野のことを沢山傷つけてきたのだから。 ごめんの一言で、許してもらえるなんて思ってはいない。 「お、取れた」 ガチャンと音がして拘束具が外れると、広瀬は牧野の背に手を当て、身体を起こすのを手伝った。 牧野はまだ口を開かず、俯いた顔からは表情が読み取れない。 「牧野、身体が辛いなら寝とくか?俺、もうちょっとこの部屋のこと調べるから」 このまま牧野の傍にいても牧野を不快な気持ちにさせるだけだと思い、広瀬はそう声を掛けるとベッドから降りようとした。 だがその動きは、広瀬を引き止めるように牧野が広瀬の服を引っ張ったことで阻まれてしまった。 「牧野…?」 意図がわからず、広瀬は牧野を見つめた。 広瀬の視線を受け牧野がゆっくりと顔を上げる。 「…っ!」 牧野の表情を見て広瀬は目を丸くした。 なぜなら、牧野が頬を真っ赤に染めて目に涙を溢れさせていたからだ。 「すき…、広瀬君がすき…っ」 「ま、きの…」 「…すきだよ…っ」 そのままぎゅうっと広瀬に抱き着き、牧野は広瀬の胸に顔を埋める。 牧野の身体が触れた箇所から伝わる熱に、ふわりと香る匂いに、広瀬の沈まりかけていた熱がふつふつと湧き上がった。 「…お願い、触って?…っ広瀬君に触って欲しい…っ」 泣きそうな表情で見上げてきた牧野の目には、確かに欲情の色が見えて、強烈な色香に広瀬の理性の糸がぷつりと途切れた。

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