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―――ここはBL界でお馴染みの『SEXしないと出られない部屋』を裏で管理・コントロールする組織の、とある部署の一つである。 主に司令塔のような役割を司るこの部署では、部屋に閉じ込められた人間を監視し、カップルに成立させるべく、様々な取り組みが日夜行われているのであった。 一見どこかの会社のオフィスのような清潔感に溢れる空間には、メインモニターと数台のサブモニターから広瀬達の様子が鮮明に映し出され、それらと向き合うようにして三つのデスクが設置されている。 それぞれのデスクにはPCや部屋を管理する為のコントロールボード等が取り付けられていて、それらを用いてあの異様な部屋を作り出しているのだった。 「それにしても、今回媚薬入りのミネラルウォーターを使ったわけだが、やはりあまり上手くいかないな。効果が現れるまでに時間がかかり過ぎているし、最悪怪しまれて飲まれないという可能性もある」 「今回のターゲットの一人が危機感なっかたから成功したようなものですしね」 グレーのスラックスに包まれた脚を組み直し考察する新人に局長はそう!でもそこがまた可愛いよね!と興奮気味に声を荒げた。 「というかだね、私は催淫スプレー派だから!あれを仕掛ける時が最高に楽しいのに経理め…費用削減の為乱用は控えるようにって誰がいつ乱用したというのだ!」 腕を組みあー嘆かわしい!と文句を言う局長に、局長それずっと言ってますもんねーと新人はデスクの上に置かれたマグカップの中身を啜った。 すると、今までデスクに向かい黙々と仕事をしていた人物が爆発したようにあーん!と声を上げた。 「もー局長さん!ターゲットの二人がお盛ん過ぎて報告用のレポート書き終わらないんですけどー!」 「ああマミちゃんご苦労様」 マミと呼ばれた人物はPCに打ち込む手を止めるとデスクに項垂れた。 OLのような淡いブルーの制服がよく似合っている。 余談だが、この組織では職員はスーツを着用している。 無論、局長も新人もそうであった。 マミだけ何故制服なのかと問われると、似合っているからと局長が許可を出したかららしい。 「ほんとに中々終わらないですね。ようやっと想いが通じて嬉しいのはわかりますけど、少しばかり捗り過ぎじゃないですか?」 新人の指摘に、局長は何か思うことがあるのか己のデスクに置かれたパネルを操作し始めた。

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