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来ないで!こないで!コナイデ…エコーのように犬飼の頭の中で猫宮の言葉が何度も響く。 大ダメージを受けた犬飼は思考停止に陥り、動きも鈍くなる。 「せ、先輩そんなに俺のこと嫌いに…?」 「え?あ、違うよ!嫌いになるわけないよ!そ、そうじゃなくて…っ」 ダバッと滝のように涙を流す犬飼に、今度は猫宮が狼狽えた。 嫌いになるわけないという猫宮の言葉にすぐにすんと涙を引っ込め、犬飼は半べそ状態で猫宮の次の言葉を待った。 「そうじゃなくて…っ、ちょ、ちょっと待って欲しいというか…」 「?」 しどろもどろな猫宮に犬飼は首を傾げる。 よくよく見ると、猫宮は両手を後ろにしていて、何かを隠しているようだ。 「何か見つけたんですか?」 犬飼の言葉に猫宮はさらに顔を赤くして視線を彷徨わせている。 明らかに何かあっただろうその姿に、犬飼の心に不安が募る。 「先輩…」 一歩近づくと途端に怯えるように後ずさる猫宮、その身体を今すぐに抱きしめたい衝動にかられ、一気に距離を詰めた。 「っ、ほんとに待って、お願い…あ、っ」 犬飼の行動に動揺した猫宮の手から握られたものが滑り落ち、運が悪いことに犬飼の足元にまでひらりと落ちてきた。 それは写真で、裏を向いたそれを手に取ると、犬飼は猫宮が制止する前に写真を表に返した。 「ーーこれ、っ?」 そこに写ったものを目にした瞬間、犬飼の目が大きく見開かれる。 明らかに情事にふけっている男二人の姿、その中の一人、頬を染め涙を流しあられもなく口を開いているのは目の前にいる猫宮だった。 「駄目っ!!」 犬飼から写真を奪おうと手を伸ばす猫宮、焦っていた為バランスを崩してそのまま犬飼の方に倒れ込む。 すると犬飼も受け身を取れていなかったので、二人揃って仲良くベッドの上にぼふっと落ちた。 はらりはらりと何枚かの写真が宙を舞い、二人の上に舞い落ちる。 その全てに、猫宮の猥褻な姿が記録されていて。 犬飼は色んな衝撃に茫然と上に乗っかる猫宮の、泣きそうな表情をただただ見つめていた。

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