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「ぐぅ~~っうううッ…」 「…ぐす、ぅ…うう…っ、」 メインモニターから犬飼と猫宮、二人の様子を観察していた局長とマミは涙に暮れていた。 二人揃ってマグカップを両手で握り、中身を啜っては嗚咽を漏らしている。 その光景に新人はドン引きしていた。 「…ええぇ…何がそんなに泣けたんですか…」 意味不明と言わんばかりに眉を顰める新人に、エエーッツ!?と局長が声を上げた。 大袈裟にリアクションし過ぎて若干眼鏡がずれている。 「逆になんで泣けないの…?……え、もしかして君、感情が乏しい系の人?」 本当に不思議そうに首を傾げる局長の後ろでマミがハッとしたように口元を手で覆った。 「いやいや人並みの感情は持ち合わせてると思うんですけど…マミさんもやめて下さいそういう反応」 人の気持ちがわからない奴だとレッテルを貼られそうになり、新人は慌てて否定した。 この二人に下手なことを吹き込むとあっという間に言い触らされてしまうのだ、特にマミ。 危うく他部署でも噂になるところだった。 「だったらわかるはずだろう!こんなに感動する展開はまあない!一途な犬飼君の想いが暗く影を落としていた猫宮君の心に希望の光を灯したのだから!」 「自分の身体はきっと汚れてるって思ってる猫宮君に、犬飼君のあの告白は熱い!あんなのそりゃ嬉しくて涙ポロポロですよ!いやーいい男ですね犬飼君」 拳を握り熱く語る局長とマミ。 お互いの言い分にうんうんと頷き合うと、せーのと声を合わせまたハイタッチを交わした。 「「おめでとう犬飼君!いえーい」」 小躍りしそうなぐらい喜ぶ二人に、呆れて新人は息を吐く。 確かに二人が言うように感動する場面もあったが、その前後の行為の濃厚さに度肝を抜かれ忘れかけていたところだ。 ちらりとメインモニターの方へ視線を移すと今尚熱々な二人は第2ラウンド突入中だった。 「…あ、でも確か猫宮君って色々ありましたよね」 ふと思い出したかのように新人がそう言うと、どこから取り出したのかクラッカーを今まさに鳴らそうと構えていた局長が動きを止めた。 「借金とか、アルバイト先の店長のこととか…いくら両想いになったからってそれらの問題が解決したことにはならないですよね?」 「あー…なんだそんなことか。それなら大丈夫。多分恐らくだが確実にこの先すぐに解決するだろう」 局長の言葉に新人だけではなくマミも首を傾げた。

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