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「「それってどういうことですか?」」 思わず新人とマミの声がハモる。 一体全体猫宮の抱えている問題がどうやって解決すると言うのだろうか。 局長はフッフッフッと意味深に含み笑いすると、デスクに置かれていたタブレットを二人に見えるように掲げた。 「これを見たまえ!ズバリ犬飼君は超がつく程の大金持ちの御子息様なのだよ!」 バーンと効果音がつきそうなテンションで、タブレットに羅列するとある項目を指差す局長。 新人とマミはええー!と驚くと、まじまじとその箇所を食い入るように見た。 「本当だ備考欄にちゃんと記載されてる…。というか社長の息子ってこの会社あの超有名な一流企業じゃないですか!あのテレビでも有名芸能人使ったCMがバンバン流れてるやつ!」 「うん、バンバン流れてるねー」 「うっそ~跡取り息子って…ていうことはあの、燕尾服着て「坊ちゃんお戯れは旦那様に叱られますよ」的なことを言う爺的な執事的な存在を付人にしちゃったりしてるんですか~っ?」 「うん、的な存在バリバリ付いちゃってるねー」 大興奮の二人になぜか自分のことのように得意げな表情をする局長。 えっへんと胸を張って鼻高々だ。 「あ、わっかりました~!犬飼君が猫宮君の借金全部肩代わりするんですね~。お金で解決するのなら俺が先輩を一生分買います、的な!?あのよく少女漫画で見るような展開になる訳ですね!ひゃー!」 「そう、そうなんだよマミちゃん大正解!そもそも犬飼君はアルバイトなんてしなくてもお小遣いなんて親から浴びるほど貰っているんだよ!それにもかかわらず彼は将来大きな会社を継ぐという責任から、今の内に働くということは何かと勉強する為に素性を隠してアルバイトしてた訳なんだよね本当に偉い!そして猫宮君に出会ったまさにこれは運命!」 息荒く力説する局長とマミに、早々に付いていけなくなった新人はやれやれと一人輪から外れた。 そのまま席へ戻るとデスクの上のパソコンを慣れた手付きで操作し、キーボードを打ち込む。 「はあー…疲れた…」 そして一言そう漏らすと、頬杖をついて未だ興奮冷めやらずな二人を遠い目で眺めた。 ーーよって、本件は以下を持って報告を完了するものとする。 ーー任務完了。次の対象者に移行する。

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