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「恋に恋するそこの貴方、憧れのあの人に中々気持ちを打ち明けられず悩んでいませんか?その恋お手伝いします。まずはお気軽にご相談下さい。というキャッチコピーなんだけれども、ちょっとこれイマイチインパクトに欠ける気がするんだよね。私としてはもっと過激に攻めてみてもいいと思うんだけど、新人君はどう思う?」
ん?と首を傾げてそう聞いてくる局長に、新人はいやいや…と手を横に振った。
「どう思うって…いやもう新聞に載ってること自体がインパクト大ですよ…」
「はーい、もっとわかりやすい表現でいいと思いま~す。例えば、これを使えばあの子も貴方にメロメロ。とろとろに蕩けて淫らな時間を過ごしてねはあと」
「いやそれもっと怪しいですから!というかそれだと『部屋』の宣伝じゃなくて媚薬の宣伝になってます…」
新人の指摘にマミはえ~力作なのにーと口を尖らせた。
新人には不評だったが局長は気に入ったようでしっかりとメモを取っている。
「ふむふむ、次の会議で議題に上げてみるか…まあとにかく!今回は今までと違って特殊なケースなので、各自気を引き締めて取り掛かるように!では早速、任務開始といこうか」
局長の言葉を合図にまたまたモニターが切り替わる。
今度はリアルタイムの映像で、大きなベッドに男が二人眠っている姿が確認できた。
「よしよしよく眠っているようだ、捕獲班にも苦情を入れたばかりだし、今回はちゃんとした仕事をしているはずだろう。そろそろ二人同時に目覚める時間だ」
局長の言葉通り、少ししてから映像の中の二人が身動ぎ始めた。
ニィ、と局長の口角が上がる。
「前回の報告会議では改善案をいくつか上げたからね、どのようになっているのか見ものだよ」
「いつも以上に熱く語ってましたもんね局長…経理の人ドン引いてましたよ…」
「ふっふっふっ…私の粘り強さの勝利!さて、リニューアルした『部屋』をたんと楽しんでくれたまえお二人さん」
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