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ゴクリと塩谷は唾液を飲み込んだ。
佐藤と同じ様にベッドに腰掛け、そろりと手を伸ばす。
だがそこではっと思い至り、あ!と手を止めた。
塩谷の声に驚いた佐藤がビクッと身体を揺らす。
「す、すいません…でもこれ、時間制限があって、多分十分間だと思うんですけど…。だから、えっと…十分間失礼します…!」
「…あ、は、はい…っ、お願いします…っ!」
お互いよくわからないやり取りをするぐらいには緊張しているようで、妙な空気が流れた。
塩谷は恐る恐る手を佐藤の胸に当てた。
「……っ」
佐藤が息を飲むのが聞こえる。
寝間着用なのだろう薄い素材のTシャツ越しに確かに肉体の感触が伝わってきて、今この瞬間自分の意思で佐藤の身体に触れているのだと認識し目眩がした。
手の平からとくんとくんと佐藤の鼓動が感じられ、呼吸する度に上下する身体に隠しきれない興奮を覚える。
ほんの少しだけ力を込め、むに、と手の平で包み込むと大袈裟なぐらいに佐藤の身体が揺れた。
「ふ…っ、」
「い、痛かったですか…?」
「…っい、たくないです…大丈夫」
ふるふると横に首を振る佐藤に安堵しながら、もう片方の手も佐藤の胸に当てた。
あり得ないぐらい心臓がドキドキし、緊張に震える手で優しくゆっくり揉み始める。
「…く、…ふ」
塩谷が手を動かす度に時折身体をビクつかせる佐藤を、塩谷は眼をかっ開きガン見している。
「(あああああ感触が…!佐藤さんの反応が!あああああ可愛いえっちだ…あああああっ)」
もみ、もみ、と怖がらせないように焦れったいぐらいゆっくりとした動きでマッサージしていると、何かの弾みで指がくにっ、とある箇所を掠めた。
「…っひゃ!」
甘さを含んだ声が上がり、思わず塩谷の動きが止まる。
佐藤を見ると恥ずかしそうに顔を背け、声を出さないように口を噤んでいる。
多分胸でも一番敏感な乳首を掠めたのだろう。
その事実に塩谷はひえええと前屈みになった。
「(駄目だ駄目だ、勃つな俺勃つな!)」
必死に自分自信に念じるが、このまま自制出来る気がしない。
こんなこと長くは続けられないと、縋る気持ちで壁の時間を確認する。
「は、?!」
塩谷の感覚ではおおよそ半分ぐらい時間が経っているだろうと思っていたのだが、壁の数字はまだ2分も経過していなかった。
それどころか【8:02】で止まっている。
動いていない。
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