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「じゃ、じゃあすみません…失礼します」 「はい、お願いします…」 先程とは体勢を変え、佐藤を支えるように塩谷が背後に座った。 まるで抱き込むような形で腕を回すと密着度が増し、お互いの体温が伝わってドキドキした。 「(はあああん!石鹸のいい匂いがする!)…嫌だったり痛かったりしたらすぐに言って下さい」 佐藤から仄かに香る匂いに理性が揺らぎつつも必死に冷静を装う塩谷。 配慮の言葉を掛け、戸惑いながらも佐藤の服の中にゆっくり手を侵入させた。 冷たい手の感触に佐藤がピクリと反応する。 「…ん、っ」 触り心地の良い素肌を撫でるようにして胸の辺りまで手を滑らせると、佐藤の身体は擽ったさから鳥肌が立っていた。 そのまま両手で胸を覆い、手の平に小さなしこりを感じて、それが佐藤の乳首であることを認識した途端一気に塩谷の呼吸が荒くなった。 「(佐藤さんの乳首ちっちゃくて可愛い…っ!)」 愛らしさにじーんと感動しつつ、この感触を忘れないようにと脳に刻みつける。 優しく胸全体を揉みしだいていくと、手の平に擦れる度に乳首が固くコリコリになっていった。 「ふぅ、…っぁ」 次第に佐藤の呼吸も乱れてきて、合間に可愛らしい声も聞こえてきた。 それに気を良くして、もっと気持ち良くなってもらいたいと塩谷の手つきが段々と大胆になっていく。 指でわざと掠めるように乳首に触れると佐藤の身体がビクッと反応し、くりくりと転がすと甘い声が上がった。 「や、…んん…っ」 吐息のような喘ぎが佐藤の口から発せられる度、塩谷は背筋がゾクゾクした。 腰に甘い痺れが走り、身体が熱くなる。 我慢出来ず塩谷が熱の篭った吐息を吐くと、頸に当たって佐藤がひ、ぅ…っと声を漏らした。 「はぁ、…はぁ…っ」 耐えるように佐藤は頭を塩谷の胸に押し付けた。 腕が拘束されている以上、こうすることでしか快感をやり過ごせないのだ。 そんな姿にキュンとして、逆上せそうな頭でもっと聞きたいと塩谷は思った。 「し、おたにさん…っ…待って、」 だから切羽詰まったように自分を呼ぶ佐藤の訴えを無視し、親指と中指できゅっと柔く胸を摘み、先端を人差し指ですりすりと擦り合わせた。 途端佐藤が一際甘い声を上げる。 「っぃ…ひぁああ…っ!」 突然の強い快感に背を反らせ胸を突き出し、太腿をきゅううっと締め付ける。 眉を顰め堪らないと腰を揺らす佐藤に、眼前の厭らしい光景に塩谷は鼻血が出そうだった。 「(や、やっぱり佐藤さん胸が感じるんだ…っ)」 それはあくる日の夜、いつものように盗聴に勤しむ塩谷は佐藤の自慰シーンに出くわした。 音声だけだったがそれはなんとも官能的なもので、その日は興奮に眠れなかった程だ。 その時の音声に佐藤が『…おっぱい気持ちいい…』と言っていたのを塩谷は聞き逃さなかった。 佐藤は結構何にでも好奇心が強い方だと思っていたが、それはこちらの面でも健在だったのだ。 だから佐藤が一人で色々試していることを塩谷は知っていた。 有り難いことに佐藤は自慰中も声を上げるタイプのようで、その都度ご丁寧に自分が感じる箇所を言葉にするものだから、そういった経験のない塩谷でもどこをどうやったら佐藤が喜ぶのかを熟知している。

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