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「(俺の好きな人がこんなにもえっちだ!)」 ラノベのタイトルのようなことを心の中で叫び、塩谷は大興奮していた。 はあはあと大型犬のように息を荒げ、血走った眼は側から見れば危ない人間のようだ。 だがそんな状態になりながらも佐藤に触れる手は優しいもので、丁寧に身体の向きを変えると横抱きに身体を支えた。 このままベッドに寝かせても拘束した腕が圧迫されて辛いだろうと思ったからだ。 「(もう少し…)」 ちらりと壁を見る。 まだ時間は五分程残っていて、それを確認すると塩谷は佐藤のTシャツを捲った。 つん、と立ち上がった薄い色の乳首が露わになる。 「(んんんんん乳首まで可愛いとか…っ!)」 声に出しそうになったのを奥歯を噛み締めて堪えた。 あくまで冷静に、紳士に振る舞わなければと何度も自分に言い聞かせた。 まあ了承も得ないままに服を捲るのが紳士のとる行動とは思えないが、経験不足だから仕方ない。 「……っ」 急に胸元が寂しくなったことに気付き、佐藤が不安げに身体を硬直させた。 「し、塩谷さん…」 「…大丈夫です、ずっと手で触ってても痛いだろうから…すいません、もう少しだけ我慢して下さい」 「そ、それって…っ」 佐藤が何か言う前に塩谷は行動に移していた。 無防備な胸に顔を近づけると、口を開け舌でねっとりと舐め上げる。 「ひ、っ?!」 佐藤が大きく身体を揺らした。 熱くてぬるぬるの舌がゆっくりと乳首を這う度、びくびくと身体が跳ねる。 あまりの羞恥と甘い刺激に、佐藤は頭を振り喘いだ。 「あ…っはぁ、っんん」 ちゅ、じゅる…っと濡れた音が、視界が閉ざされ敏感になっている耳に響いて力が抜ける。 もう声を我慢することが出来なくなって、佐藤の開きっぱなしになった口から涎が垂れた。 塩谷はずっと見たくて堪らなかった佐藤の乳首に感激して、夢中で吸い付いている。 れろれろと小刻みに舐めたり、片方を指で捏ねて同時に愛撫すると、佐藤は腰を揺らし太股を擦り合わせた。 「や、だ…め、…だめぇ…っ!」 唇で挟み甘噛みしたところで佐藤が泣きそうな声を上げた。 今までの反応と違って、塩谷は我に返り口を離した。 でろでろに蕩けきった佐藤を目にしてやり過ぎてしまったと血の気が引く。 「す、すいません…!き、気持ち良くなかったですか…?」 オロオロしながら佐藤に問い掛けると、佐藤は違うと言う風に弱々しく首を振って、甘えるように塩谷に頭をくっつけた。 「ちが…き、気持ち良すぎて…っぁ、…おっぱい…っ変になっちゃいま、す…」 「ーーーーーッ!!?!!」 うわ言のようにとんでもない事を口にした佐藤に、塩谷は前屈みになり唸った。 「(た、勃った…今ので完全に勃った…っ)」 そんな気はないのだろう佐藤の言葉は、塩谷には刺激が強すぎた。 じんじんと下半身の中心に渦巻く熱に塩谷は脂汗を浮かべた。

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