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「ーーっさ、佐藤さん!」 衝動のまま佐藤に覆い被さる、まさにその瞬間。 ピピピピッ!!とアラームの様な音が部屋中に鳴り響いた。 「へっ?!」 ビクッとして壁に目を向けると、いつの間にか壁の数字が【00:00】となっていた。 どうやら十分経過したことを知らせる音らしい。 まさに絶妙なタイミングであった。 まるで誰かが見ているかのような…まあ実際見ているのだが。 「…あ、危なかった…」 塩谷は安堵した。 あのまま音が鳴らなかったら確実に佐藤を襲っていただろう。 佐藤の痴態にあてられて、自分が制御出来ず理性も失いかけていた。 あの一瞬だけ、佐藤のことよりも自らの欲を満たすことで頭がいっぱいになっていたのだ。 「(お、おおお俺はなんてこと…っ)」 自分自身の行動が信じられず、動揺に目を泳がせる塩谷。 今すぐどこか硬いところに頭をぶつけて邪な自分自身を戒めたかったが、腕に抱えている愛しい温もりを介抱する方が大事だった。 「佐藤さん、大丈夫ですか…ーーッ!?」 そう声を掛けて、塩谷は息を止めた。 塩谷の腕の中、ぐったりしてふぅふぅと肩を上下させている佐藤の姿に目を見開く。 赤く染まる頬と色っぽく乱れた衣服、そして何よりも下半身の膨らみに塩谷は目が釘付けになった。 「(勃っていらっしゃるーーーっ!!)」 佐藤のそこはズボン越しにはっきりと主張していて、勃ち上がった性器の形がわかる程だった。 それは先程の塩谷からの愛撫に佐藤がしっかりと感じていたという証で、嬉しく思う塩谷だっが、なにぶん今は目に毒だった。 「ぁ…塩谷さん…終わり、ましたか…?」 途切れ途切れになりながら塩谷に問い掛ける佐藤。 その声は辛そうで、苦し気だった。 それもそうだろう、散々弱点である胸を弄られ強制的に快感を与えられたのだ。 中途半端に高められた身体には熱が燻り、じんじんと勃ち上がったそこが刺激を求め、無意識なのか我慢できないのか太股を擦り合わせている。 「…っ、終わりました。多分クリアしたんだと思います」 塩谷は佐藤から視線を外すと明後日の方向を見た。 佐藤のことを直視しているとまた煽られてしまいそうで怖かったのだ。 気を散らそうと、そのまま壁の文字を確認することにした。 壁の文字は消えていた。 塩谷の言葉通りミッションをクリアしたからだろう。 今度こそ出られる、とりあえず佐藤の拘束をなんとか解いて、一刻も早く一人で処理できる場所にまで連れて行ってあげなくては。 とあれこれ考えていた塩谷だったが、この部屋を管理している彼等がこの状況、まだ二人の関係に花も咲いていないような状態で、二人を解放するわけがなかった。

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