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「…ひっ、」 塩谷の手が身体に触れる感触に佐藤は小さな悲鳴を上げた。 服の上からそっと胸を撫でて、そのまま下へ這う手に身体が強張る。 何をされるのか、さっきまであんなに信頼していたはずなのに、今は塩谷がとても怖く感じた。 まるで知らない人みたいに思えて頭が混乱する。 抵抗を忘れていた佐藤だったが、徐に塩谷の手が下半身の膨らみに触れた瞬間、これから塩谷が何をしようとしているのかがわかり拒絶した。 「や…っやめ、て下さ…塩谷さん…っ!」 戦慄きながら必死に声を上げて、塩谷を制止しようとする。 だが塩谷は止まらず、ほんのり硬さの残るそこをやんわりと揉み込んだ。 突然与えられた甘い感覚に、治りかけていた熱がぶり返す。 「……っぃ、や、」 ゾクゾクと腰から背筋に登る甘い痺れに逃げようと腰を揺らすが、塩谷の手からは逃れられない。 望んでもいない強制的な快楽に、先程まで中途半端に愛撫された身体はじわじわと熱に侵食され、刺激に貪欲になった。 嫌だと思う気持ちとは裏腹に、もっともっとと快感を得ようとする己の身体が信じられず、拒むように太腿で塩谷の腕を挟むが、思うように力が入らないそれは抵抗というには弱すぎた。 「ふ…ぁッ」 両腕を拘束され、上から押さえ込まれてしまっては佐藤に塩谷を止めることは出来なかった。 目で訴えることも出来ず、唯一自由な口も、開けばあられもない声が出てしまいそうで迂闊に言葉も発せられない。 「…んッ、く、ぅ…っ!」 ズボン越しに上下に扱かれ一気に本格的な快楽が襲いくる。 ウブな塩谷らしくない、性急で乱暴な動きに佐藤は拳を握り締め耐えた。 そうこうしている内に塩谷の手がズボンに潜り込み、そのまま下着の中にも侵入してきたので、これには佐藤も強い抵抗を見せた。 「やだ…ッ!やめて下さい、塩谷さんっ!」 泣きそうになりながら必死に塩谷に訴えかけ、脚をばたつかせる。 「……っ、」 塩谷は焦り佐藤に覆い被さった。 体重をかけて佐藤の動きを封じ、震える手で佐藤の性器に直接触れた。 そこは緩く勃ち上がっていて、芯を持つように硬くなっていた。 それは佐藤がちゃんと快楽を得ているという証明で、塩谷は安堵した。 そのまま手の平で包むようすると、弱点に触れられたことで暴れていた佐藤が大人しくなった。 「ゃ…い、や…塩谷さん…っ」 涙声で弱々しく自分の名前を呼ぶ佐藤に、塩谷は罪悪感でいっぱいだった。 佐藤が可哀想で、今すぐ止めてあげたかった。 ーーだけど、そんな気持ちに反比例するかのように塩谷の下半身は立派に反応していた。 パンパンに膨らんだそこがズボンを押し上げ、窮屈そうにしている。 想い人の身体に、性器に触れ、吐息をすぐ側で感じ、痴態を眺めていればそうなることは当たり前だったが、塩谷はそんな自分自身が信じられなかった。 青ざめ死にそうな顔で、早くこれが終わるようにと塩谷は手を動かし続けた。 「はぁ…ぁっ!ぅんん…ッ」 後ろから抱き締めるようにして同じようにベッドに沈む。 手で筒を作り裏筋を中心に何度も性器を扱くと、佐藤が甘く鳴いた。 気持ちいいのか、先端からどぷりと先走りが溢れ塩谷の手を汚す。 それさえも全体に塗り広げローションの代わりにし手の動きを早めると、何度も腰が跳ねて、佐藤は無意識に性器を塩谷の手に押し付けていた。 追い討ちをかけるように塩谷はもう片方の手を服の中に侵入させ、下半身の快感にぷっくりと育った乳首を指で摘む。 きゃん、と子犬のような声が上がって、そのままそこをクリクリと刺激すると、途端に佐藤の背がしなり、ひくりと喉を震わせた。 「ーーっひ、ぁああッ…!」 ガクガクと麻痺するように腰が上下に動き、太腿の内側に力が入る。 先端からまた先走りが溢れ、佐藤の性器はどくとくと脈打っていた。

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