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「…いやーなんというか、あれだねあれ、うん、終わり良ければすべて良し!」
「んな訳あるか!!」
うんうんと頷く局長に、凄まじい勢いで新人のツッコミが炸裂した。
ターゲットの二人の様子を映すモニターに手をかざし、新人は強い口調で局長に問い詰めた。
「一体これはどういうことですか?」
「え、なに?急に御乱心なんだけど大丈夫?コーヒーでも飲む?」
マグカップを差し出す局長に、新人はピシッと手の平を向ける。
「後で頂きます。そんなことよりも、今回のターゲットについて疑問がたくさんあるんですが」
「同じくちょっとよくわかりませーん!」
新人に賛同するようにマミも自分のデスクで腕を上げている。
「ふむふむ、二人共どういった点が疑問なのかね?」
腕を組み新人とマミを交互に見やると、局長は興味深そうにキラリと眼鏡を輝かせた。
「まず、二人は相思相愛なんですよね?この『部屋』に閉じ込められるということは、少なくともターゲット二人がお互いに好意を寄せているのが条件の筈ですが…」
「そうそう、合っているとも。我々の任務はくっつきそうでくっつかない、ああもどかしい!非常にもどかしい!お前らもう付き合っちゃえよ、な恋人達の卵を手助けすることだからね」
拳を握り締め力説する局長。
そんな局長に次はマミが問い掛けた。
「じゃあ〜一方から嘆願書を貰ってたって意味ないってことですよねー?お互い好意を寄せていないといけない訳だか、ら……え、もしかして…」
「流石マミちゃん鋭い!おや?新人君も気付いたみたいだね」
マミの言葉にハッとして、新人はモニターを操作し始めた。
コントロールパネルを叩き、サブモニターにあるものを映す。
「……!」
そしてそれの中身をよーく観察し、一部分を拡大したところでマミと同時に声を上げた。
「「えーーー!?」」
そこには嘆願書の一番下、契約者のサイン箇所に佐藤の名前が記されていた。
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