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大きいとりと小さいとりの場合
ーーここは日本の何処かに存在する、とある組織の極秘の施設の中。
BL界でもはやお馴染みの、『SEXしないと出られない部屋』を裏で管理・運営するその組織には、数多の職員が今日も今日とて新たなCPを生み出すべく任務に励んでいるのであった。
「あーーーー!!くっそーーー!!!」
コントロールルームに局長の怒気を帯びた声が響く。
そのまま手にしていた分厚い書類をデスクに放り投げノオォォォーーッと吠える局長に、その様子を眺めていた新人がげんなりと重い息を吐いた。
「…いい加減機嫌治して下さい、今回の企画は通らないのを前提で提案したんですから」
「やだやだやだ!そんなの認めないぞ私は!」
諭す新人に激しく首を横に振り駄々をこねる局長。
一体どうしたというのだろうか。
「だって、だって…っ新しく『部屋』の内装を変えたいだけなのに何故却下される?!」
「そりゃそう何度も変えてたら予算も尽きますよね」
「違う…!いつもなら経理が渋っても、新しい『部屋』の案を推して推して推しまくれば通る筈なんだ…ただ今回はアイツがいた…あのくそキザ野郎め…!」
「局長、言葉が汚いです」
ダンッとデスクに拳を叩きつける局長に、新人が冷静に指摘した。
時は遡り数十分前、局長と新人はとある会議に出席していた。
この会議は局長達『部屋』部門についての予算や今後の動き、仕様などを議論する重要なもので定期的に行われている。
毎回この会議で局長は自身の萌えカプ談義に花を咲かせ、だから『部屋』にはこれが必要なんだあれもいるこれも作ってくれ!と力説しては毎度のことに無理難題を提案し、開発部と経理の胃痛の原因を作っていた。
そして今回もさあ今日はどんなCPについて話そうか、あ、この前のヤンデレ受のことでも語ろうかっなーなどと考えながらルンルンで会議室に向かったのだが。
会議室の扉を開け真っ先に目に入ったとある人物に、局長は一気に言葉を失くしたのだった。
「おやおや、開始時刻の数分前にご登場とは、随分偉くなったものだね」
「お、お前は…っ」
細長いテーブルの一番奥、一番目立つ席に座り、足を組むその男。
ピシッと細身のスーツに身を包み、その全身から発せられる圧倒的な仕事の出来る男だぜオーラが男の全身を光輝かせていた。
「専務…っ!」
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