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「な、ななな…そ、それはどどどどういうことだ…?」
明らかに動揺する局長。
ぷるぷると震えながら専務を問い詰める。
「会議でも話したように、現在この『部屋』部門は大した数字を出せていない。それにもかかわらず『部屋』の改装やそれに伴う備品の調達、『部屋』のシステム管理に多大な経費が浪費されている状況だ。このままではいずれその他部署にもその皺寄せが来ることを懸念し、上層部でも議論されていたのだよ」
「そんな…そ、そんなこと私は認めないぞ!長い月日をかけてここまでの施設を作り上げたというのに、ちょっと数字に伸び代がないというしょーもない理由で運営を停止させるなんて…っ!ハッ!わ、わかったぞこれもそれも全て貴様の陰謀だな…!」
ビシッと専務に向け指を差す局長。
人を指差してはいけません。
専務は腕を組み、蔑むような目で局長を見た。
「何を言い出すのかと言えば何もかもを人のせいにするなんて、それしか能がないから任された仕事も思うように結果が出せないんじゃないか?…だが私も運営停止することには賛成だ。このまま結果を出せずただ無駄に経費を使用することは専務の私としても見過ごせない」
これは…本当にやばいのでは…と『部屋』の存続に危機感を感じる新人。
どうにか出来ないかと考えていると専務が口を開いた。
「まあ…かといって、それでは今まで貢献してきた君達が報われないとも思う。そこでだ、君達にチャンスを与えよう」
そう言って専務が取り出したのは一つのファイルで、それを新人に手渡した。
「これは本来私が担当の案件だが、特別に君達に託そう。この任務を見事『部屋』を使用し遂行することが出来たのであれば、『部屋』の運営停止を撤回しても構わない」
「ほ、本当ですか!」
ファイルを抱え目を輝かせる新人。
専務さんって案外いい人なのかも!と専務に対する印象が変わった。
「局長!良かったですね…って、あれ?」
安堵し局長の方を見ると、何故か局長は険しい顔をしていた。
眉を寄せメンチを切って専務を睨んでいる。
「きょ、局長…?(すごい顔だな)」
「…ぬぁーんか怪しい、貴様が一度決めた事を覆すなんて…何か裏があるんじゃないのか?ん?」
「ハッハッハッ、本当に君は失礼な奴だな。私はどちらでも構わないさ。このまま何もせずに『部屋』を手放すのか、抗ってみせるのか…まあチャンスを与える代わりと言ってはなんだが、もし任務が失敗した場合今年度のボーナスはカット、それから裏方業務へと異動をしてもらおうか」
「「んなっ?!」」
何という交換条件なのだろうか、局長と新人は青くなった。
新人なんて働き始めてから初めての賞与だというのに、こんな残酷なことはない。
「そ、そんな…(初ボーナスが…)」
「き、貴様っ!卑怯だぞ!」
「何が卑怯なのだろうか?ただいつものように任務を遂行すればいいだけの話だろう」
「うぐぐぐぐ…っ!」
口の端を上げ嘲笑う専務に歯を食いしばり悔しそうな局長。
まさに絶体絶命、その時だった。
オフィスの扉が開き、能天気な声がやって来た。
「ふんふーん戻りましたーってあれ?専務さん?」
お花摘みから戻ったマミだった。
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