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「では今回ターゲットとなる二人の情報をおさらいしようか!まずは攻の大鷹君!うん、なんとも攻だよって名前の彼だが、見た目も柔道部だからがっしりしていてタッパもあり、もう充分過ぎるぐらい王道的な攻だよね!写真見る限り爽やかでムサくないし、中々のイケメンときた」 「うんうん、性格も正義感があって真面目で、あ、恋愛に関しては奥手でシャイっていいですね!ギャップ萌えですよ!」 「対して受の小雀君はもう!名前からして可愛い!小ちゃい雀だよ?なにそれ最高かよ。それに名は体を表す!見た目も小鳥みたいで華奢で小柄、元気いっぱいって感じで実にいい!性格は人懐っこくてちょっと甘えん坊ってっっ!ッンン可愛すぎる!」 「それに小雀君、この見た目で剣道部…それも結構強いだなんて、これまたギャップ萌えですね!もーなにこの二人かーわーいーい!!」 きゃっきゃっと攻受談義に花を咲かせる局長とマミ。 いつもならそんな二人を冷めた目で新人が見つめているのだが、今回ばかりは違うようだ。 「そうですね、攻の大鷹君は柔道部のエース、そして受の小雀君は剣道部の部長。一見接点が無さそうな二人ですが、同じクラスの同級生であること、それと趣味が筋トレという共通点から意気投合。トレーニングをしてもあまり筋肉がつかないという小雀君の悩みを解決しようと、一緒に筋トレを始めたところ、小雀君の人柄や可憐な笑顔に徐々に大鷹君の方から意識し始める。一方小雀君の方も大鷹君の柔道に一生懸命取り組む姿やふいに見せる凛々しい表情に惹かれていく。だけども今まで運動しかしてこず、生まれて初めて恋をする二人にはこの感情が一体何なのかわからない。高鳴る心臓、輝いて見える相手の顔、ふと触れた指先に身体が熱くなる…。そうしてお互いに惹かれ合いながらも悶々とした日々を過ごす…アオハルかよ。……はぁ…敢えて言います最高だと」 饒舌に語り出す新人。 その表情は恍惚としていて、悦に入っている。 まるでいつもの局長とマミ状態である。 いつもと違う新人の様子に、局長とマミは目を丸め、お、おぅ…と戸惑った。 「よ、よし、おさらいはここまでにして、マミちゃんモニター起動してっ!」 「は、はい局長さん!メインモニター起動します!」 まだ何か語ろうとする新人を遮り、二人はデスクに着き操作を始めた。 メインモニターが起動し、パッと『部屋』の内部が映し出される。 そこには大きなベッドの上、今回のターゲットの二人の姿があった。 すやすやと眠る二人を確認し、局長は宣言する。 「ではこれより任務を開始する。皆位置に着き用意をしたまえ。新人君、『部屋』に覚醒薬を30%投入。マミちゃんはターゲットのバイタルをチェックしてくれ」 「了ー解ですっ!」 「了解しました。…ふふっ」 局長の指示に従い返事をする二人。 新人が嬉しそうに含み笑いをしているのを見て、いつもの新人君じゃない…と局長は震えたが、頭を振り見なかったことにして気を取り直した。 「さて、それでは君達の恋を成就させようか」

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