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第6話

9/30 凪Side 単独ライブまであと3日。 紅葉は驚異的なスピードで曲を覚えて、もちろん自分なりのアレンジも加えて弾き込んでいる。 原曲とかけ離れてしまうとファンの子たちも心配するので、メンバーでこまめに連絡を取り合って丁寧に編曲を調整していく。 毎朝起きてから登校するまでと、学校が終わると遊びにも行かず、まっすぐ帰宅して日付けが変わる前までずっと練習、練習、練習だ。 本当に真面目に取り組んでいて、直向きな姿に逆に心配になってくる。 天才は努力なんて必用ないなんて言うらしいけど、打ち込めるものがあると更にスゲーのな。 そして最近は俺個人に対していろんなことを聞いてくるのだ。 「凪くん甘いの好き? 洋菓子と和菓子どっちが好き? 僕ね、クッキーとか焼菓子系が好きなんだけど、やっぱり日本に来たら和菓子も美味しいなって思って!! 温かい緑茶に合うよね~!」 こんな調子で 好きな音楽の話とか世間話だけではなく、学生時代のことや家族の話、誕生日、血液型に始まり、好きな食べ物、色、服、足のサイズ…毎日少しずつ聞かれるがこれはいったい…?! うん…。 紅葉の視線がやけに熱っぽいことにもいい加減気付いているし、そこにこの質問攻撃。 その意味を分かっていていつまでもこの現状なのは如何なものかな…。 でもライブを控えているのでとりあえずそこまでは今のままが良いのだろうと思っている。 っていうか、どうすっかな…。 せっかく決まったサポートメンバーを私情で切ったりしたらマズイし…。 告白とかされて断ってもそのままバンドだけの付き合いだけって出来るものかね? まぁ…恋愛あるあるの巧妙な駆け引きとか、周りからいろいろ情報集めてとかいう好意の向けられ方でないのでイヤな気分ではないが、逆にこんな純粋な…中学生?小学生?みたいなピュアな紅葉の相手が俺で良いわけがないよなって思っている。 駆け引きのかの字も知らないというか、知っていてもやらないのだろうな、紅葉は…。 嘘とかもつけなさそうだ…。 どうしたらこんなに素直な子に育つのだろう…。 んで、こんなイイコにもし告白されたらとりあえずで付き合えるかって聞かれても男同士ってのは経験ないしな…。 いや、この業界バイもゲイも多いから免疫だけはあるし、嫌悪感や差別的な考えもない。 でも当事者になれるのか? 同じバンド…。イトコも同じバンド… …リスキーだ。

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