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第7話

10/2 いよいよライブを翌日に控えてのリハーサル。 都内のスタジオに集まり、最終確認をしていく。 「違うっ!! そこは暗転したらすぐ楽器チェンジ出来るようにもっと早めにスタンバって! 凪はこのあとカウント軽めに入って。 みなは歌い出しが弱い! 誠一、さっきのBメロもう少し音はっきりと。 紅葉、ここはあんまり前に出ると特効出るから危ないからね!ちゃんと覚えておいて!」 普段は冷静で温厚なリーダー光輝がメンバーやスタッフに次々と厳しく指示を飛ばす姿に驚いた様子の紅葉。 他のメンバーはこの2年で慣れたものだが、リハーサル後はさすがに、ぐったりとしていた。 リハーサルの帰りにコンビニで凪が抹茶ティラミスプリンを買ってあげると、紅葉は目をキラキラさせながらものすごく喜んだのだとか…。 10/3 1730 Linksライブ当日 紅葉side 「いい? 練習通りいかなくても演奏は続けて。 凪が引っ張ってくれるし、私も光輝くんも誠ちゃんもフォローする。 クラシックとは違って譜面通りに弾くことよりも大事なことがロックライブにはあるから…。 バイオリンのコンサートとは違うけど、お客さんはLinksを求めて来てくれてる。 紅葉もうちの一員なんだから、何も恥じることはないよ。」 みなちゃんが開演前に言ってくれたこの言葉ですごく勇気が持てた。 誠一くんはジュースを買ってくれて、光輝くんもいろいろ分からないことを説明してくれて間違えても大丈夫だからと言ってくれた。 凪くんも 「あれだけ練習したんだから大丈夫。いつも通りで大丈夫だから楽しめ」 って大きくて暖かい手で頭をポンっとしてくれたんだ。 不思議と緊張はしなくて、でもオープニングからお客さんたちの熱気と歓声がすごくてビックリしちゃって、1、2歩後退りしてしまった。 その様子をバッチリ凪くんに見られていたみたいで、後ろを振り返ったら笑われたけど、その笑顔につられて僕も笑ったらなんだか一気に楽しくなってきて、夢中でベースを奏でた。 動き回りながら演奏するギターの2人はすごいなぁ!僕は慣れなくてまだあまり動けないけど、光輝くんと誠一くんが隣にきてくれて並んで演奏したり、間奏のドラムとベースパートが主な部分は凪くんと向かい合って演奏したり、とっても楽しかった! みなちゃんがマイク向けてきて歌えと言われた時はさすがにビックリしたけど…! キラキラと光る照明の中、とても充実した時間であっという間に終わりの時間が近付いてくる。 今回のライブが終わったら凪くんとの同居も終わっちゃうし、なんだか寂しくなってきた。 ダメだ! 最後まで笑顔でいないと! MCでメンバー紹介が行われた。 「今回のライブからサポートでベースに入ってもらった紅葉。 カッコ可愛いでしょ? 王子っぽい? 衣装選んだの私。 感謝してね、みんな(笑) …似てる? そーだね。 …弟なんだよ。」 そう言って彼女は僕の肩を抱いた。 ヒールを履いているみなちゃんは僕より背が高くてちょっと切ない…。 オーディエンスは驚きの悲鳴をあげていた。 「えっと…? こんにちは? あ、こんばんはだ! 紅葉です。ドイツから来ました。 みなちゃんとは姉弟じゃなくてイトコです。 同い年だけど、僕の方が誕生日が早いのでお兄さんです! 好きな食べ物は抹茶のプリンとチョコレートです!! よろしくお願いします!」 ペコリと頭を下げるとお客さんたちは拍手をしてくれた。 可愛いー!って言ってくれる人も多くてちょっと嬉しい。 「…なんだか転入生の自己紹介みたいになりましたが、よろしく。みんな仲良くするように!!」 光輝くんがそう言ってしめてくれた。 お客さんはみんな笑顔で僕も嬉しくなった。 LIVEは最後まで盛り上がって、アンコールもあって、でも僕が出来る曲がないので代表曲の『eternal』をもう一度やって幕を閉じた。 「よく出来ました!えらい!」 とみなちゃんに抱き締めてもらって、スタッフのみんなも良かったよー!本番に強いねって言ってくれたからほっと一安心。 僕とみなちゃんが未成年だから打ち上げはまた明日やるんだって。 凪くん、光輝くん、誠一くんと成人してるスタッフは機材を片付けた後で飲みに行くんだって…。 「凪くん、今日いっぱいフォローしてくれてありがと。」 「全然。俺もやりやすかった。10日間お疲れ! ゆっくり休めよ!」 僕は寂しい、寂しいと言いながらみなちゃんとタクシーで帰宅したのだった。

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