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第8話

10/4 1930 LIVE 翌日 以前凪の働いていた日本料理店にて昨日のLIVEの打ち上げ兼紅葉の歓迎会 今日はメンバーのみだ。 「遅れてごめんね。 一気に取材依頼が来てさ…。 私も紅葉の2shot写真撮らせろとか怪しいのもあるし…! 光輝くん、メール飛ばしたからどれ受けるのか決めてくんない?」 「了解ー。 って、…多っ!! …後で確認しておくね…。」 「揃ったし、とりあえず始めない? せっかく凪の先輩が美味しいお料理の準備して待ってくれてるし」 先に来ていた三人は先に飲み物を頼んだようだ。 「だね。 紅葉何飲む? 私もビール…」 「すみません、烏龍茶と紅葉くんはオレンジジュースでいいかな?…それで。」 「あ、ちょっと!!」 光輝が訂正すると仲居さんがすぐに持ってきてくれて、みんなで『お疲れ様ー!!』と言って乾杯をした。 光輝が「紅葉くん、日本に、そしてLinksへようこそ!!」と歓迎の言葉を加える、 「昨日のLIVE、すごく反応良かったよ!! アンケート集計してもらってるからあとで見てみる?」 誠一も優しくそう言うと紅葉は嬉しそうに微笑んだ。 「どーした、紅葉…。大人しいな?」 凪がいつもより静かな紅葉に気付いて声をかける。 「ジャパニーズスタイル初めてで緊張する!! マナーとかあるの?」 「気にしなくて大丈夫だから。」 「良かった。 すごくいいお店だねー!! 畳もいい匂い~!!」 「そっか…。ずっと家で食わせてたからな…。ここは料理も美味しいから楽しみにしてな。」 「うん!でも凪くんのご飯もすごーく美味しいよ!」 「…凪に預けてた10日間ですっかり舌がこえたみたいで、うちに帰ったら『凪くんの作ったのが美味しいな…』とか言うから今日は朝も昼もおにぎりにしてやった!! ん?ってか、それ私の服じゃない?!」 「あ、ごめんね。 洗濯間に合わなくて借りてる…!!」 「…紅葉の方が細い上に足長くない?! ムカつく!!」 「本当仲良しだねー!!」 「誠ちゃん!! 和んでないで、紅葉に服を見繕ってやって!! 全然持ってきてないんだもん。」 相変わらず賑やかなメンバーだ。 その後は出てきた料理をみんなで楽しんだ。 紅葉は刺身やすき焼きに感激していて、他のメンバーから少しずつおかわりをわけてもらってまで食べていた。 気を良くした凪の先輩がデザートの抹茶アイスを紅葉と女性のみなの分を2つにしてくれ、それも綺麗に食べ終えた。 「美味しかったぁ!! 神様に感謝します。幸せ!!」 「細いのによく食べるね。 若いからかなー」 「ほんとよく食うんだよ。 でもあんまり身になってねーよな(笑)」 「そーなの! 女子の敵ー!」 「今度地方のライブに行ったらいろいろ食べさせないと。」 「まだまだ美味しい物があるの?! 日本って最高だねっ!!」 終始和やかに楽しい一時を過ごした。 帰り際、紅葉は凪を呼び止めた。 昨夜に引き続き飲み直そうと誘ってきた誠一と光輝に断りをいれて店の裏手側へ移動する。 みなは先に帰るねと紅葉に声をかけてタクシーに乗っていったので、まぁ十中八九告白だろうと思いながらも用件を訊ねた。 「あー、…えっと…、何?」 「あのっ…! 凪くん彼女いないって本当?」 「いないけど…」 「そっかっ!…良かった。 あの、僕…、凪くんのことが、好き…です。 えっと、恋愛感情で好きなんだ…。」 「…ありがとう。えっと…」 「それでね…! 付き合って欲しいとかはきっと迷惑だと思うんだけど… 来週ね、誕生日なの。」 「そうなんだ?」 「もし出来たらでいいんだけど…! 凪くんの予定がなかったら1日だけデートして欲しいなって…!ダメかな?」 「いつ?」 「10日…」 「…ちょい待って。 …午後イチ仕事が一件あるけど、終わってからならいーよ。普通に映画とか?食事とかでいい?」 「うんっ!いいの?本当に?!嬉しい! ありがとう!」 「いいよ。」 「あとね、10日間の感謝の気持ちをお手紙に書いたんだ。まだ字が下手なんだけど…! 良かったら読んで下さい!」 ペコリとお辞儀をして手紙の入った封筒を渡す紅葉。 「分かった。 ありがとう…。」 「えっと…、飲みにいくんだよね? 引き留めてごめんね! 聞いてくれてありがとう!僕、帰るね?」 「待て、タクシー拾うから…!」 「電車で帰れるよ?」 「また迷子になったらどーすんだよ!」 「そしたらまた凪くんに見つけてもらえるまで待ってる!」 「アホ…! 夜は危ないっつーの。 ほら、乗って…! 金は?もってる?」 「大丈夫。 ありがとう、優しいね!」 「気をつけて帰れよ」 バイバイと手を振る紅葉は凪の姿が見えなくなると緊張で強ばった両手を見詰めた。 なんとか自分の想いを伝えられて良かったと、そして誕生日がすごく待ち遠しく思えた。

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