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第16話
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みなのマンション
ずぶ濡れのまま玄関に2人並んでみなに交際の報告をする。寝てるところを起こされた彼女は眠そうだ。
昨日は警察沙汰でほぼ1日が潰れ、今日は昨日の分もピアノの練習やボイトレ、ランニングなどのトレーニングに徹したのでお疲れの様子…。
「分かった…。
良かったね、紅葉。
でもさ、もう0時なんだけど…。
早く風呂入って寝なよ…。」
「うんっ」
「じゃあ俺はこれで…」
おやすみと告げる凪を2人で引き留めた。
「凪、さすがに風邪ひくよ…。
このまま泊まれば?」
「そーだよ!」
「いや、…マズくね?」
「でも暴風雨警報出てるよ?」
「マジで?!
通りで雨ヤベーと思った…。」
ワイパーフル稼働でも前が見えにくくてさすがに運転するのにヒヤヒヤしていた。
「泊まればいーよ、もう。…ねむっ。」
先に紅葉を風呂へ押し込み、凪はタオルを借りる。
暖房のきいた部屋は暖かく、冷えきった身体も少しずつ落ち着く。
「この前誠ちゃんがくれた服があるけど入るかなー?あ、あとはバスローブならある。
まぁ、別に裸で寝てもいーけど。」
「…どーも。」
「洗濯機も使っていいからそのまま乾燥かけたらいいよ。冷蔵庫も飲み物とか勝手にどうぞ。
じゃー、おやすみ。」
そう言ってリビングのソファー脇に敷いた普段は紅葉の使ってる布団に沈むみな。
「…待て。
俺はどこで寝たらいい?」
「あ、カップルは仲良くベッドどーぞ。
お付き合い記念で貸してあげる。
でもラブホじゃないからね?ヤんないでよ?
凪を信用してるからね?」
「…ヤらないけど。いろいろ問題だろ。」
「…おやすみ。」
「おいっ!」
どうなるかと思ったが、凪がお風呂から上がって寝室を覗く頃には紅葉はもう眠っていた。
ホッとして隣に潜り込み、抱き寄せて眠ることにする。
腕の中の紅葉の体温が心地好く、しばらくの間まだ少し湿っている髪を撫でてみたり、キレイな寝顔を眺めてみる。
『恋人』という実感は正直まだ実感がないが、この無垢な寝顔を間近で見られる特別感に頬が緩んだ。
いつもより時間的にはまだ早いのだが、凪も眠りについた。
10/11 705
翌朝…
カチャ…
「うわっ、リアルBLだ。
写真撮ったら腐女子に高値で売れそう…。
…いや、身内を売るのは良くないよね…。
紅葉、起きて。」
「んっ。」
「学校。起きて支度して。」
パタパタという足音とドアの閉まる音で微かに目が覚めた凪は、隣にあったはずの温もりに手を伸ばす。
「んー、何時…?」
スマホを覗くとまだ7時で、凪は二度寝に入った。
リビングではまだ目覚めていない紅葉はソファーに座り、やはり二度寝に入ろうとしていた。
「紅葉っ!起きて!!
って、ダルいの?
風邪ひいたー?…熱は?」
「寒いー。」
顔色の悪い紅葉に気付いたみなは、おでこに手を当てると明らかに発熱している様子だった。
「あー。
どうしよっか…。」
薬を飲ませて様子をみるか、病院へ連れて行くか…。
「テスト何時から?」
「9時…。」
「終わってから病院行こ。
ポカリ飲んでもうちょい寝てな。
りんご食べる?」
「うん…。りんご、うさぎさんにしてくれる?
風邪…凪くんにうつしてないかな?」
「あの人、丈夫だから平気でしょ。
はい、飲んで。冷えピタも。
風邪薬…日本の飲めるかな?
飲んだ方がいいよね…。」
次々と世話をやくみなは手慣れている。
紅葉は小さい頃から身体が弱くて、よく看病をしてきたのだ。
8:35
凪を起こして車で紅葉の学校まで送ってもらう。
「テストってこの前の再試?
昨夜の雨のせいだよな…。ヤベぇ…。
熱けっこう高いよな?」
「38℃…
ホッとして疲れが一気に出たんだと思うよ。終わったら病院連れて行きたいんだけど…凪、時間ある?」
「平気。つーか、心配だし…ほっとけねーよ。
とりあえず一回帰って着替えてくる。
…お前も一度戻る?」
「そこのカフェで時間潰すからいいよ。
うち寄ったら時間もったいないし、病院行くのに必要なのは持ってきてるから。」
「分かった。
じゃあテスト終わるまでに迎えに来るから。」
11:18
病院へ行くとインフルエンザではなかったのでホッとして、風邪薬を処方してもらう。
熱があってふらふらしていても食欲はあるようでお腹がすいたという紅葉に、凪はキッチンを借りておかゆを作って食べさせた。
食べやすいゼリーや紅葉の好物の抹茶プリン、果物、スポーツドリンクも買ってきてくれて至れり尽くせりだ。
「なるほど…。
凪はとことん尽くすタイプか…。」
みなは妙に納得していた。
「美味しいー。
凪くんのご飯は元気が出るよー!」
「俺、もう仕事行くけど…食べたら薬飲んで寝ろよ?おかわりもまだ鍋にあるから。」
「ありがとう!
うつるからハグしたいのに近付けない…
お仕事頑張ってね!」
「おう。早く治せよー。」
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