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第25話

11/20 深夜120 Links事務所にて作業中の光輝と誠一 「なんでこんなに仕事が…」 「…光輝だよね? 例のブランドの販売会以来、みなちゃんと紅葉が付き合ってるみたいな噂でSNSがスゴくて、取材とかもその話題ばかりだね…。」 「あの2人距離近すぎるから…! 俺だって紅葉はみなが好きだと思ってた! ずっとベタベタしてるし…。 まさか凪だったとは…!!」 「ははっ。 光輝って意外と鈍いよね? あれは絶対分かるよー? ってか、好きな人を追いかけて海まで越えてくるとかすごいよね。」 「凪の好みは美人OL風だと思ってたから紅葉は考えてなかった…。 ってか、この動画…絶対あげられないんたけど…。」 Linksはセルフプロデュースなので様々な仕事を自分たちでこなす。 編集作業をしている光輝の手が止まり、苦悩の声がもれた。 「何ー? あー、ファンクラブ用のオフショット企画? 凪と紅葉のターンだったっけ? どんなのだった?」 「凪が筋トレ紹介してて、紅葉に腹筋させてるんだけど、もう…イチャイチャにしか見えない。」 凪が紅葉の足を押さえて腹筋の回数を数えるという動画はまず紅葉が「ねー、凪くんが近いーっ!」から始まり「や、カッコいいから集中出来ない…っ」「ねぇ、あと10回出来たらご褒美にチューしていい?」とか言ってるし、凪も小声で「分かった、分かった。あとでな?」など発言が甘過ぎて使えない。 「わ、本当にラブラブだね?凪も普段あんまり笑わないけどめっちゃ笑顔だし…。 …もう認めてあげたら?」 「もうなんでもいいよ…。こんなの見せられて反対する気力残ってない…。 えー?とりあえず早送りでBGM? どう編集すりゃあいいのか教えてくれ!!」 光輝はパソコンに向かって嘆きながらも、画面の中の2人を受け入れようと思い始めていた。 好きになってしまったのなら仕方がない…。 自身の恋愛は前途多難だが、男同士でもとても幸せそうな2人に安心した光輝だった。 11/23 1500 Links イベントLIVE ロックアーティストの集まるイベントLIVEに新曲の披露を兼ねて出演するLinks Linksはメンバーに未成年者がいるためバンドのレベルに比べると早めの出演順となっているのだが、早めに出演するバンドは比較的新規でメンバーも若く、まだ技術的にも人間的にも未熟のところが多い。 注意していたつもりでも、何かとトラブルが起こる…。 「光輝、すぐ来て!」 先輩バンドのメンバーたちと談笑していた光輝は誠一に呼ばれて舞台裏へ走った。 「どーした?喧嘩?!」 「絡まれてつい手が出たらしい…。 ってかこっちも怪我してる。」 「はっ?!」 「悪い、ドラムの調整で手が離せなくて気付くの遅くなった。」 「僕も電話で外してた。 ちょっと…先にみなちゃん手当てしよう。 カナちゃんは大丈夫?ちょっと来て? 紅葉は平気?」 誠一がみな専属のカナを手招きで呼びよせて、紅葉にも確認する。 「大丈夫。」 「頬のとこ火傷してるから。凪、早く冷やして!」 「はぁっ?! ちょ、早く来いっ!!」 凪が紅葉を連れて行き、カナはみなの怪我を確認すると「鎖骨のとこ腫れてる。」とメモを書いて光輝と誠一に見せた。 「っ!!ちょ、見せて!!」 服に手を伸ばす光輝に「それ以上捲ったら殴る」とみなが言った。胸元まで見えそうになっていて、光輝は慌てて手を離す。 ちらりと見えた鎖骨は赤く腫れていて見るからに痛そうだ。 「とりあえず、歩けるなら楽屋いく? 僕、冷やす物もらってくるね?」 「みな、これ何された?」 「多分スタンドかなー?殴られた感じ。」 あまりの衝撃に前を走る誠一も固まる。 「…警察呼ぶ?」 「向こうが呼んだら仕方ないけど、こっちからは呼ばないで。イベント出れなくなる…。」 「この状態で出すわけないだろ!」 光輝が言うが、みなは出ると言う。 「3曲の出番だけど、わざわざLinksを見にきてくれてる子もいるんだよ? 冷やして、痛み止め飲んで、終わったら病院行くから。 大丈夫。歌える。ってか、そんな痛くない。」 「絶対痛いよ、それ…(苦笑) 因みに何があったの?」 保冷剤をもらってきた誠一が尋ねる。 カナが受け取ってハンカチに包み、みなの鎖骨に当てて冷やしていく。 「紅葉とカナと3人でステージと客席確認してたら、なんか絡まれてどっちでもいいから1回ヤらせろみたいな? 変なのが2人来たんだよね。 アホらしいからシカトしてたら紅葉にいちゃもんつけてタバコ向けてきたからさー。 顔、しかも目近かったからさすがに危ないと思って止めたら揉み合いになるし…。 カナが間に入ってくれたんだけど、向こうキレちゃったみたいで殴られそうになったから股間蹴って、そしたらもう一人が端にあったスタンド?振り回した。避けたけどかすった。…ダサっ」 みなの鎖骨をアイシングしながらカナも「みな、悪くない!」とメモを見せた。 「分かった…。 ちょっとディレクターと向こうと話してくるから…誠一ここお願い。」 「了解。」 光輝は頭を抱えながら楽屋を出ていった。

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