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第27話

12/10 Linksスタジオ練習日 まだ練習前だが、スタジオ内はある意味緊迫していた。 「本当にバカっ! 追試とかバカ過ぎる…。 ツアーもイベントもあるのに冬休みなくなったらどーすんのっ?! クリスマス前だからって浮かれすぎだよ、バカ!」 「バカバカ言わないで~。 敬語の出てくるアニメがなかったんだもん。」 アニメで日本語の勉強をしている紅葉が文句を言いながら課題とにらめっこしている。 光輝は紅葉のスケジュールの調整に追われ、凪はドラムのセッティングをしながら週末のデート予定が追試に変わったショックに苦笑していた。 「そこ漢字違うよ?」 「誠ちゃん!! ちょっと、このバカに数学を教えて。」 到着したばかりの誠一はギターをスタンドに置いて事情を聞き、紅葉の課題を確認する。 「なるほど…。カテキョすればいいの? …僕、高いよ?(笑)」 「えっ?!」 「お前が言うとスゲー如何わしいんだけど…!(笑)」 誠一の冗談に驚く紅葉と手ぇ出さないでね?と冗談で返す凪。 結局、練習の後に凪同席の元、カフェで勉強をみてもらい、お礼代わりにコーヒーをご馳走するつもりが、何故かカフェオレとドーナツまで奢ってもらう紅葉。 「頑張ってる子って好きだよ。 漢字は凪に見てもらいな? 追試、無事に終わらせて一緒にツアー行こうね。」 「誠一くん大好きー!ありがとうっ!!」 「コラッ! …お仕置きすんぞ?」 そう言って誠一にハグする紅葉を秒で引き剥がす凪だった。 12/24 クリスマスイヴ Linksファンミーティング 世間はクリスマスムード一色だが、Linksはこの日も仕事。なんとか追試をパスした紅葉も参加してこの日はファンミーティング。 抽選で当たったファンクラブの会員たちが集まり、トークショーと握手会を行う。 明日がツアー初日の東京公演だ。 昨夜はスタジオリハだったり、バタバタのスケジュールだが、ここ数日ネットでの嫌がらせ(下品な書き込み)が増えていてその火消しに疲労困憊の光輝。 今日も平和に終わりますようにと願いを込めて現場へと向かった。 会場は着席式のホールで普段はピアノの発表会などが行われるらしい。小さいながらも落ち着いていてキレイな場所だ。 メンバーは各自私服で、イヴなので皆割りとキチンとした格好をしている。 みなは珍しくロングスカートで左側にスリットが入っている。首もとは怪我を隠すようにハイネックだが、肩のところが空いていて女性らしい装いだ。 でも腰まであった長い髪は肩までバッサリ切られていて一段落明るい金髪…編み込みながら左に流す形にセットされている男装モード。 サングラスをかけていてイメチェン具合がスゴい。 「彼女はどうしたの? 反抗期なのかな?」 司会をお願いした馴染みのCD店店長も思わずそう突っ込んだ。 「ちょっと最近いろいろあったから気分転換。」 「噛み付かないから大丈夫なんで。」 光輝が笑いを誘ってフォローして、トークショーが始まった。 内容はファンクラブならでは、プライベートなものが多く。 とある日の食事の紹介。 誠一はほぼ外食だと話し、お洒落なカフェランチの写真を用意していた。 「大学の近くですね。 友達とけっこう行きます。 ここの店知ってる人いるかな?」 「頭良い学校だよね? 学校名言えないけどみんな知ってるの?」 けっこう有名らしく、会場がざわつく。 「誠一くん次4年? 卒業後どーするの?友達とかどこに就職するの?」 「JAXAとかかな?あとは院に進んだり…留学したり… 僕は今先輩とやってる会社があるんで、そっち後輩に引き継いで、卒業後はバンド一本ですよー。」 「おぉっ!スゲーね! W大理系最難関を出て、ミュージシャン?!」 「いやいや、大学名言っちゃってるから(笑)」 光輝はUber Eatsを愛用しているという。 和食のお弁当だった。 「最近忙しくて引きこもりなんで… ほぼ毎日、毎食お世話になってます。 すみません、なんの華もなくて(苦笑)」 みなは洋食、鶏肉と豆と野菜のトマト煮込み、温野菜サラダ、バケット。 「自炊するんだねー。 ってか、めちゃくちゃ美味しそう!」 「みなちゃんのごはん美味しいよー。」 「この子見た目以上にすごい食べるの(苦笑)」 「そっか、2人は一緒に住んでるんだよね。」 紅葉は友達と食べに行ったというパンケーキの写真 「美味しそう~! なんか女子高生みたいだね(笑)」と司会者に言われていた。 凪は和食。 肉じゃが、サワラの餡掛け、茶碗蒸し。 野菜の切り方も出来映えも完璧である。 会場からも歓声が上がった。 「これ自作ー?めちゃくちゃうまそうなんだけど! さすが!調理師免許持ってるんだもんね!」 「すみません、これ用にちょっと気合い入れました(笑) 普段はもうちょい楽してる。」 「こんなの作られたら女の子堪んないね。 あ、逆に立場ないって怒るのかなぁ?」 「1人で生きていけるでしょって捨てられるタイプ…(苦笑)」 恋愛関係の質問もあった。 好きなタイプや恋人に求める条件は? 誠一は 「挨拶がちゃんと出来て、気が利く子かな。」 光輝は 「もう仕事が恋人なんで、一番はこの仕事を理解してくれる人。」 みなは 「えー、何だろう…。 …顔とお金? あ、待って。これ、イメージ悪い(笑) んと、1日中ピアノ弾いたり曲作ってても文句言わない人かな?」 紅葉は固まって 「えっと、優しい人? 僕ボーッとしてるって言われるからしっかりしてる人が好き。」 凪は 「脚がキレイで、素直な子。」 「凪くん脚フェチなの? もうちょいアダルティな質問いい?」 「矢島さん、それラジオでお願い。 大人組3人が喜んで答えるって。 ほら、今日は純粋培養の子がいるから…」 「なるほど。 残念だけどそーしよう!」 最後に明日のLIVEの意気込みなどを聞かれてトークショーは終了。 握手会をしてお客さんを見送る形でイベントは終了した。 誠一は先輩と起業した会社の飲み会に顔を出しに行き、みなと光輝は司会をしてくれた矢島を含めてスポンサーとディナー、凪と紅葉はオフだ。 「明日LIVEだからね? 凪、分かってるよね?」 「…承知してますよ。」 「ホントかなぁ? じゃあまた明日ね、紅葉。」 「メリークリスマスイヴ~!」

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