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第38話
12/31 9:00
みなと紅葉は昨日に引き続きロビーでピアノとバイオリンの即席演奏会を行い、後援会の知人を始めとした宿泊客を大いに喜ばせた。
凪はまた朝から厨房の手伝いを行い、帰りにはメンバー全員に年越し蕎麦とお節料理を持たせてくれた。
紅葉とみなはお土産に売店で売っているお菓子を山ほど貰い、紅葉は早速移動中の車の中で食べていた。
休憩を挟みながら東京へ到着。
誠一を送ってから凪と紅葉は凪の自宅へと向かった。
「紅葉、一回帰ったら面倒くさくなるからこのまま買い物寄っていい?」
明日からしばらく休みなのだと説明すると紅葉は頷いた。
1930
2人で買い物を済ませてようやくの帰宅。
年末のスーパーの混雑具合に疲労感が増しながらもなんとか必用なものは買えた。
「凪くんお疲れ様!
運転ありがとうー。
僕、お風呂入れてくるね!ゆっくりしてて。」
紅葉はパタパタとバスルームに行き、お風呂のスイッチを押すとリビングに戻り、二人分の洗濯物を持って再びバスルームへ。
洗濯機を回して、リビングの凪のもとに戻るとコーヒーをセットする。
「何? 労ってくれてるの?」
「うん。お手伝い。
あと何か出来ることあるー?」
「じゃあ癒して?」
どうやって?という顔をした紅葉にキスをする凪。そのまま抱き締めると紅葉も嬉しそうに凪の背中に腕を回した。
「風呂出来たら一緒に入る?」
「うん! 凪くんの身体洗ってあげるー!」
純粋にそう告げる紅葉に凪も笑顔を見せる。お風呂が出来上がるまで2人でコーヒーを飲むことにする。紅葉はお土産のお菓子も持ってきて封を開ける。
「食い過ぎだって 」
凪に注意されながらもつい好物の抹茶チョコレートに手がのびる。
食べ終わってから、凪にキスをすると「甘っ」と言われ笑われるひとこまがあった。
2020
「温泉も良かったけど、お家のお風呂も一緒に入ると楽しいね。」
「ん。さすがに家だとちょい狭いけどなー。
ってか、風呂は明るい恥ずかしいからイヤなんじゃなかったっけ?」
今日は電気のついている浴室…
凪が尋ねると紅葉はそーだけど…と続けた。
「恥ずかしい、けど…。
なんか…ね。 えっと…何て言うか…」
「何ー?」
後ろから紅葉を抱き締め、首筋に唇を落としながら凪が聞いた。
「もっと凪くんにくっついてたくて…。
怖いとか恥ずかしいより、誰かに取られる前に凪くんとしたい…って気持ちが大きくなったみたい。」
可愛い素直な告白に嬉しくなりぎゅっと抱き締める凪。
「あんま可愛いこと言ってるとこのまま全部しちゃうけど、いいの?」
「出来れば…夜ご飯食べてからがいいな。」
紅葉のお願いに思わず吹き出す凪。
「ぷはっ。
お前、ずっとお菓子とか食べてたじゃん! 」
21:30
少し早いが、早苗からもらった年越し蕎麦に合わせて天ぷらと卵焼きを作り2人で食べる。
「蕎麦平気?アレルギーとか出なきゃいいんだけど…」
凪が確認すると、
「大丈夫ー。この前友達にそば粉のクレープ一口もらって食べたけど、なんともなくて、美味しかった!」
「ならいいけど。
天ぷらも熱いから気をつけて食えよ?」
「うんっ!
さくさくの海老好きー!」
器用に箸を使い蕎麦をすする紅葉はもうすっかり日本に馴染んでいるようだ。
食後は2人で片付けをして、持ち帰った機材や荷物を整理する。
紅葉は少しバイオリンも弾き、凪はその演奏をじっくり聴いていた。
「マジで癒される…。紅葉のバイオリン好き。」
「ホント?
僕も凪くんのドラム好きだよ。
昨日のソロ、すごいカッコ良かった!」
「またコラボしよう。
この前は流れで繋いだだけだったけど、ドラムとバイオリンとか異色コラボもありだと思うんだよなー。」
「うん。
カッコ良くなりそうー!!
僕、もっと練習するよ!」
「…紅葉、練習また明日にしてそろそろイチャイチャしよっか?」
「っ!!」
凪がストレートに誘うと紅葉は赤くなりながら頷き、バイオリンをそっとケースにしまった。
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