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第53話
※本編と直接関係のない話になるのでとばしてもらっても大丈夫です。
一部NL表現があります。
東京 1825
無事に銀座で光輝と合流した紅葉は凪に「こうきくんとあえたよ。LIVEがんばってね!」LINEをして、とあるブランド店に来ていた。
「光輝くん…。ここすっごく高そう…!
いーのかな?」
「いいよ。
コンクールの入賞祝いと、高校卒業の前祝い。
良いスーツ1着はあると便利だよ。
今作っておけば大学の入学式でも着れるし、来年は成人式…紅葉は出れるのかな?
二十歳の記念で必要になるから。」
「でも…こんな高価なもの悪いよー。
光輝くんは何で僕にこんなによくしてくれるの?
ビザの申請とか学校の書類とかも見てくれるし…。僕がみなちゃんのイトコだから?」
「うん?
まぁ、そこは関係なくて…。
ビザとかはバンドのためにってのもあったし。
まぁ…スーツはね…。
俺ね、ちょっと年の離れた弟がいたんだよね。生きてたら紅葉と同い年で…」
「亡くなったの…?」
「事故で。両親と弟。」
「そっか…。僕の両親と同じだね?」
「そうだね…。
それで…弟が二十歳になるとき俺は普通に大学出て働いてる年になってるから、成人式のスーツ買ってあげようと子供の頃から考えてて…。
まぁ、夢だったんだ、兄貴としての。
だから代わりって言ったら押し付けで迷惑になるかもだけど…、夢だったから叶えたくて。
一年早いけど、俺もう働いてるし、けっこう稼いでるからさ(笑)もらってくれる?」
「ありがとう…っ!
あのね、お兄ちゃんって呼んでいい?
みなちゃんと結婚したら、光輝くん僕のお兄ちゃんだよね?」
「え?どーだろう…?
なんかバンド内どんどん複雑になるから今まで通りでもいい?
…でも、そっか、親戚になるんだ。
結婚出来たら紅葉が成人するまで代理人出来るかもね。…成人するまでに良い返事がもらえたらの話になるけど…。」
言いながら落ち込む光輝を紅葉は勇気づける。
「みなちゃん、いっぱい考えてるよ。
でも最近お家にずっといて、元気ないの…。」
「そっか…。俺困らせてるかな?」
「光輝くん…!
えっとね…結婚のことと違うんだけど…!
光輝くんってお金持ち?
ピアノって買える?」
「値段によるけど…。何で?
もう1台欲しいって?」
「違くて…。みなちゃんのお母さんのピアノなの。いくらか分からないけど、今どこにあるのかは知ってる。でも誰かが外国に持って行こうとしてるみたい…。
僕のお金…遺産?っていうの?使っていいよって言ったんだけどそれはダメって怒られて…。」
「なるほど…。大体わかった。どこにあるピアノか教えてくれる?調べてみるね。」
「なんとかなる?」
「俺、粘り強いんだよね。
ついでに諦めも悪い男なんだ。…任せて。」
「ありがとう!お願いします!!」
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