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第65話

※本編と直接関係のない話になりますのでとばしてもらっても大丈夫です。 ※NL要素があります。 凪と紅葉が出掛けて残る3人はリビングで珈琲を飲んでいた。 「誠ちゃん今日どうするの?」 「観測データまとめて論文読むかなー。 あとでちょっと街に出るかも。」 「ご飯作ろうか?」 「大丈夫だよー。テキトーに済ませるから。 2人はどうする?」 「俺は普通にここで仕事するつもりだけど…。」 ノートPCを開く光輝はディスクワークに徹する気らしい。 「私もピアノ弾いてようかなぁー。 足がないし。」 「…せっかくの休みなのに? 2人で出掛けたら?」 デートの提案をする誠一に考え込む2人。 「……。どうする?」 「…平九郎も一緒なら。」 みなの防御策(?)に頷いた光輝はPCで犬連れでも行ける場所を検索し始めた。 「外に出るなら仕度してくる。んと、15分。」 「了解。」 2人の会話は業務的で凪と紅葉とは正反対な雰囲気に苦笑する誠一。 「面白いねー。うまくいきそう?」 「分からない。そういう目的での合宿じゃないし、現状維持が最大の近道だと思ってる。」 「なるほど…。みなちゃん料理上手で胃袋つかまれて内心揺さぶられてる割りに落ち着いてるね。」 「…仕事に集中してないとヤバい…(苦笑)」 「ははっ。まぁ、楽しんでおいでよー。」 時間きっかりでリビングに降りてきたみなはきちんと化粧も済ませて、平九郎をリードに繋いだ。 「じゃあ行ってくるね。」 「行ってらっしゃいー!」 光輝の車に乗り込み、シートベルトを締める2人。 「どこ行くの?」 「ドッグランのあるカフェがあったからそこどう?小雨だから少し遊べるかな。」 辿り着いたカフェで昼食をとり、平九郎にもおやつを頼む。 カフェによくあるパスタセットに光輝は「この前みなが作ったやつの方が美味しかったな…」と呟いた。 食後は雨が上がったので、貸しきりのドッグランでボール遊びをした。 飼育放棄されていた平九郎は今ではすっかり元気になり、ボールを追いかけて芝生を駆け回る。 途中、持っていたボールを見失って焦ったり、自分の尻尾を追いかけて転んだり…どこかドジなところが紅葉と似ていて面白い。 「元気だね。まだ遊ぶの? 一緒にランニングも出来るし…犬飼いたいなぁ…。」 「あのマンションペット可だっけ?」 可だったら今すぐにペットショップに走りそうな光輝に苦笑するみな。 「不可。まぁ、忙しくて無理かなぁ。 癒されるのにー。」 平九郎の頭を撫でながらみなは光輝にお礼を言った。 「…ありがとう。合宿でここに来て良かった。スランプからも抜け出せたし、光輝くんもあれからも普通に話してくれるし。」 「好評価…?」 「そうだね…、あと、出来れば夏に来たかったかな(笑)」 そのあとカフェの店員さんオススメの滝へ向かう。ちょっと坂がありますよーと言われた道は立派なトレッキングコースで、運動不足の光輝は根をあげる。 「光輝くん…!もう少し早く歩ける? トレーニングにならないんだけど…ちょっとは鍛えた方がいいよ?」 「これ…デートじゃなくてトレーニングなの?でも確かに…。何せご飯が美味しいし、お酒もすすむから誠一ともこの合宿太るよねって話してたんだよね…。」 「明日から一緒に走る?」 「え、と、何キロくらい?」 「8~10かな。ちょうど折り返し地点に珈琲屋さんがあって、毎朝店主のオッサンが奢ってくれるの。」 「…2キロくらいからでもいい? あと、帰りに珈琲代払いに行こうか。」 LIVEで走りながら歌っても息がきれない身体作りを目指していたみなはずっとランニングを続けていて、今やその体力と実力はアスリート並みだ。 高地トレーニング~と言いながら前を歩く彼女を平九郎と一緒に休憩しながら追いかける。 明日は筋肉痛だな…と呟く光輝。 「はい。」 前を行く道を戻り、光輝に手を差し伸べるみな。 「あ、平九郎?」 リードを渡すと受け取りながら「違うよ」と笑う彼女。 「ずっと紳士だったからご褒美。 …手でも繋ぐ? 引っ張ってあげるよ。」 「え…っ?! いいの? ホントに?!」 「イヤならいいんだよ? 今日もほぼ男装だからゲイカップルだと思われるかもね?」 「そんなことはどーでもいいんだよっ!!」 「…元気じゃん。早く行こう。」 手のひらをジーンズで拭いた光輝はそっと左手を差し出した。 女の子に手を引かれている情けない構図だし、みなの言うように年配者からの視線が少々いたいが、彼女がここまで気を許してくれたことに感激し、緩む顔を右手で押さえながら歩みを進めた。 ようやく辿り着いた滝は霧がかっていて、良く言えばマイナスイオンたっぷり…キレイだけどとにかく寒かった。 「やっぱり夏に来たかった…。」 「ごめん、夏はリリースとツアーだ。」 「まぁ、いいよ…。」 「合宿、順調だし、最終日はみんなで楽しもうと思って。何したい?」 「バスケ!!」 みなの回答に「ピアニストなのに?」と笑う光輝。 「母がいたら絶対出来なかったけど、私は料理もするし、バスケもやる。自由に生きるの。 ランニングとかヨガとか一人で出来て指怪我しないのばっか選んでたけど、メンバーみんなでバスケやったら楽しかった。」 「そっか…。 近くに高校生とかいないかな? せっかくなら対戦したいねー!」 「ここ来るまででへばってるのに?(笑)」 寒いので早々に引き返して、食材を調達してから貸別荘へ戻る。 疲れを見せる光輝と店に入れない平九郎を車に残して買い出しにでるみな。 戻ると居眠りをしている2人に苦笑しながら光輝を起こす。 「アルコール買えなかったから光輝くん行ってきて。」 「了解…。」 アルコール類と、ケーキをいくつか買って戻る光輝。 「ケーキ買ったの?」 「ホワイトデーと今日のデートのお礼。 まぁ、みんなの分あるんだけど…。」 「…忘れてた。」 記念日やイベント事にあまり執着しないみなだが、光輝の気遣いは嬉しかったようだ。

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