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第66話

2人が貸別荘に戻ると誠一が「早かったねー!」と出迎えた。 「あれ?誠ちゃん出掛けなかったの?」 「昼食べに出て、ワイン買って、ここで飲んでた。」 「昼間からワイン…!(笑)ミュージシャンの鏡だね。飲みながらでいいから夕食作るから手伝ってよ。」 「いいよー。動画撮っとく?」 光輝と平九郎は薪ストーブの前のソファーで休憩モードだ。 「ごめん、後から手伝う…。」 「こっちいいから平九郎をシャンプータオルで拭いておいて。」 「了解ー…。」 「ナニしてきたの?光輝疲れてるね?」 「軽くトレッキング…?」 「健全だねー。 …あの2人は帰ってくるのかな?」 「どうかな?泊まりかもねー。 まぁ、いっか。連絡くらい寄越すでしょう。」 「だねー。ところで何作るの?」 「シチュー!! じゃがいも洗って、皮剥いて、1/4くらいに切って水につける。よろしく!」 指示を受けた誠一は撮影用にカメラをセットしたあと、早速作業に取りかかる。 「いや、不器用過ぎるでしょ、お兄さん…! 何?あの超絶技巧の速弾きはデフォルトなの?なんでギターあんなに弾けてじゃがいもが切れないの?(笑)」 「これ無理でしょ。もう皮ごと切っていい? 煮れば食べれるよね。」 緻密な計算は得意なのに料理には大雑把な誠一に笑う。 結局光輝も手伝ってなんとか野菜を切り終え、仕上げはみなが行う。 「平九郎もいっぱい遊んで疲れたね。 鶏肉茹でてあげるねー!」 3人が食事を済ませた頃、凪と紅葉が帰宅。 「おかえりー! 楽しかった? ご飯は?食べた? 私たち今からデザートだよ。」 「デザート…?」 何やら気だるげな紅葉がデザートという言葉に反応する。 「悪い、うっかり寝てて連絡忘れた…。 夕食みなが作ったのか?」 「みんなでシチュー作ったんだよ。食べる?」 「もらう…。あ、自分でやるからいーよ。 紅葉も軽く食べる?デザートはそのあとな?」 「はぁい。 平九郎ー、ただいま。いい子にしてた?」 ソファーでゴロゴロしながら平九郎を撫でる紅葉。みなに今日の報告をしているようだ。 「お蕎麦食べて、お馬さんとウシさん見て、アイス食べて、温泉入ったー!」 「馬いいね! 平九郎はボールでたくさん遊んだよー。」 ワインの新しいボトルを取りにキッチンへ向かう誠一が、シチューを温めている凪に話しかける。 「で? その肩噛み痕には触れた方がいいのかな?(苦笑)」 部屋が暖かいので、上着を脱いだ凪のカットソーの隙間からは生々しい歯形が見えている。 「あー…。なんつーか、焦らし過ぎただけ? 何なの…マジで…。この性事情が筒抜けな感じ…!(苦笑)」 「とりあえず凪も飲めば? 休みだから誠一なんて昼間から飲んでるよ?」 光輝にワイングラスを渡された凪は素直に受け取って、誠一に上質なワインを注いでもらう。 「旨いね…。」 「でしょ。もっと飲みなよー!」 「飲ませてもこれ以上は喋んないからな!」 その後、夕食を食べる凪と紅葉に合わせてデザートを食べる光輝、誠一、みな。 みなも凪の肩についた歯形に気付くと顔をしかめた。 「ちょっと! 紅葉にあんまりハードなことさせないでくれる?なんかが減る!」 「なんかって何だよ(笑) 初心者相手にそんなハードなことしてねーよ。」 「え、何ー? あ、あれ? ちょっとね、我慢出来なくて、勢い余って噛んじゃって…。 凪くん痛い? …ごめんね。 やっぱり消毒する?」 「いい。紅葉それ以上喋んな。 俺のも半分ケーキ食っていいから。 …それ以上は秘密。」 「分かった! ケーキっ!」 「あれは…半分しか聞いてないね…。」 誠一が苦笑する。 「もうあの部屋2人で使っていいよ(苦笑) 誠一、寒くても狭くてもいいから同室よろしく。」 どうせ凪と紅葉は一つのベッドで眠るのだ。 荷物はこのまま部屋に置かせてもらえばいいし、最初からそうすれば良かったねと光輝も苦笑した。

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