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第79話

4/15 1600 凪の誕生日 「ただいまぁー!」 「おかえり…。 どうだった?大学…」 「広くて迷子になりそうだったよー。 でも友達に会えたからいろいろ教えてもらって提出物出してきた。 遅くなってごめんね。」 今月から音大生となった紅葉。 ほとんどが内部進学のため、友人も多く人間関係は問題ないのだが、環境の変化やイベントLIVEなどの仕事の疲れも重なり入学早々体調を崩してここ数日休んでいたのだ。 なんとか体調も回復して、食欲も戻り、ほっとし始めたところだ。 今日は凪の誕生日なので、朝から張り切っている紅葉。 朝食も早起きして紅葉が作り、今も帰ってきたばかりだが、凪のためにコーヒーを入れて、少しでも凪に喜んでもらおうと一生懸命だ。 「そんなに張り切ってると夜まで体力が持たないよ?」 凪に耳元で囁かれて赤くなる紅葉。 今日はこれから高級ホテルでディナーとお泊まりなのだ。 翔が凪の誕生日プレゼント兼、骨折時のステージのギャラと差し入れの御礼代わりにチケットをくれたのだ。 ディナーは紅葉がご馳走してくれるらしい。 「もうすぐみなが来るし、仕度してくれば?」 凪に言われた紅葉は一度2階へ向かった。 今日は平九郎の世話をみなに頼んだ。 先日、LIVEの時はペットホテルに預けたのだが、翌朝迎えに行って帰ってきてからまた問題行動が見られたので今日のことを悩んでいるとみなが自分で良ければ泊まりでみてくれると言ってくれた。 彼女なら平九郎も慣れているから信頼して預けられるし、家の留守も任せられる。 でもこれからのことを考えるとペットホテルも徐々に慣らしていかなくてはいけないなぁと凪は考えていた。 ラフな服装から黒のスキニーパンツと長めの丈のデザインカットソーにジャケットを羽織った紅葉がリビングに戻ってくる頃、みながタクシーで到着した。 「お待たせー。 言われた通りタクシーそのまま待たせてるよ。 平九郎~!久しぶりだね。」 みなは平九郎が大のお気に入りで早速撫で回している。 「あ、凪ハピバ~! これ誕プレ…って言うにはビミョーかもだけど…使えると思うから。」 「おー、サンキュー! 何?」 「ペットモニター! これ置いてアプリ入れるとスマホから留守番中のペットの様子が確認出来て音声も繋げるんだって。 もう正式にここのうちの子だもんね?」 落とし物扱いの平九郎の所有権が紅葉のものになるまであと僅かなのだ。 「あと少しかな…。 お、スゲー!今まさに欲しかったやつだな。」 「わぁー!これで学校とか仕事の時も平九郎のこと見れるんだねー! 平九郎、返してって言われたらどーしよ…。」 「言わないでしょ。 もし言われたらお金でも積んでやればいーよ。」 「大丈夫…?」 「いくらでも払ってやるから大丈夫。」 心配そうな紅葉に凪が男らしくそう告げる。 凪も紅葉もプレゼントを気に入ってくれたようで、みなも嬉しそうだ。 「今日はあとで写メとか動画送るから…ほらデートでしょ?早く行きなよ。」 「ありがとう。これ鍵…。 平九郎、みなちゃんと仲良くね! イイコにしててね!」 「よろしく。 紅葉の部屋、シーツとか変えてあるから使って。メシも冷蔵庫に入ってる。」 「テキトーでいいのに。 誕生日なのに洗濯して料理もしてくれたの?(笑)ありがとう。 楽しんできてねー!」 こうして2人は出掛けて行った。

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