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第88話※R18

5/14 2110 「んぁ…っ、は、ァ…っ! や、あの、…ここで?」 「…待てない。 そこ、掴まってて? 紅葉、お願い…。 いいよな?」 「…うん…っ!」 ここはダメだと思っていた自宅のキッチンで何故だかそういう雰囲気になってしまい、凪のお願いに喜び、シンクの縁に手をつく紅葉。 凪は紅葉の背後から丁寧に後ろを解していく。ポケットにミニサイズのローションとゴムを忍ばせている辺り、計画犯なのかもしれない。 ちょっと遅れての新婚さんのように、2人はラブラブな日常をおくっている。 最初あれだけ扱いに苦労していた平九郎も慣れてきたのか、またか…と言いたげなため息をつくとソファー横の自分の定位置でうたた寝をしている。 「やっ、あぁっ ー…っ!」 「相変わらず狭…っ! 痛くない? もうちょい奥いい?」 「や、だめ…ぇ。…んーっ!! あ…っ!!」 少し前屈みに紅葉の体勢を整えて、奥まで挿入すると、気持ち良かったようであっという間に達する紅葉。 いつも凪が磨きあげているシンクの側面と床に白濁がかかり、卑猥な光景が広がる。 「エロ可愛くて最高…っ! めっちゃ好き…。」 「ぁっ、アッ、ぁぁっ…!! 凪くん…! あ、それやめ…っ!だめ…、あ、ん、好き…っ」 「…どっち?(笑)」 2350 「紅葉、そろそろ時間だぞー?」 情事後に一通り片付けを終えた2人はソファーで寛いでいた。 紅葉は疲れたのか、映画を眺めるうちに寝てしまっていて、凪に起こされる。 これから毎月恒例、ドイツの家族とのビデオチャットなのだ。 紅葉はノートPCのセッティングとココアをいれてくれた凪にお礼を行って、姿勢を正す。 「俺、そっちで仕事してるから。」 邪魔にならないようにと気を遣って、ダイニングテーブルへ移動する凪。 しばらくすると連絡がきたようで、平九郎と一緒にモニター前に並び、賑やかなドイツ語の会話が繰り広げられる。 紅葉は日本語の時よりハキハキと喋っている…ような気がするなぁと凪は感じる。 こどもたちの騒がしい声に一生懸命応える紅葉に和みながら自分のノートPCを立ち上げた。 15分程経つと、紅葉が少し困ったような表情で凪を呼びにきた。 「どーした?PC調子悪い?」 「ううん…。 あの…、みんなが凪くんと話したいって言うんだけど…」 「…いーけど…、俺、英語もほとんど喋れないよ?」 「通訳するからちょっとだけいい?」 「え、なんか緊張する…。服このままでへーき?」 「カッコいいから大丈夫っ!」 紅葉に手を引かれてPCの前のソファーに座るとモニター越しにキャーキャーと歓声が響いた。 どうやら歓迎されているらしいと凪はほっとするが、次々に画面にアップで映るチビッ子たちに困惑気味だ。 とりあえず英語で名前だけ名乗ると、「ナニィ?」とビミョーな発音で返される。 次々に自己紹介されるが、一回では覚えられないのであとで紅葉に確認することにした凪。 夕食の仕度をしているらしい紅葉の祖母と、仕事から帰宅した祖父とも挨拶を交わす。 『SAMURAIBOY』としか聞き取れなかったが、孫の恋人がミュージシャンの男でも反対することなく、紅葉と少し似ている笑顔でニコニコしながら手を振ってくれる。 陽気な彼らに凪も自然と笑顔になった。 「おじいちゃんが、一緒にビール飲もうって。」 オンライン飲み会まで始まり、いろんな質問に答え続ける凪と紅葉。 1人だけ日本語を話せる男の子がいて、凪は直接会話することが出来た。 紅葉が弟妹たちの誕生日プレゼントをまとめて贈った時に凪はまたお菓子を買ってプレゼントしたので、そのお礼を伝えてくれた。 下の子たちは凪のことをお菓子をくれるお兄さんだと認識しているらしい() 紅葉は照れ臭そうにして訳してくれなかったのだが、紅葉と珊瑚の仕送りのおかげで弟たちは習い事にサッカーも始めることが出来て感謝しているのだと祖母が話すのも彼が通訳してくれた。 「何か聞きたいことある?って言ってるけど…」 「とりあえず…何で家の中にアヒル?ヒヨコ?がいるの?(笑)」 先ほどから画面の後ろに映りこむ鳥が気になって仕方ないようだ。 「卵から孵る時にアシューが見てたからついてきちゃったんだって。可愛いねー。」 明るくて賑やかな交流は向こうが夕食の時間になるで続いた。 何度も「バイバイ」を言い合って通話を終えると、しょんぼり寂しそうな紅葉…。 隣に座る凪にぎゅっと抱き付いた。 「…夏休みに帰る?」 大学生の夏休みは長いと聞くし、ツアーや仕事はあるが、まぁなんとかなるのではと思いそう提案するが、紅葉は首を振った。 「ツアーがあるから…! 課題もあるし…。頑張らないと。 それに帰ってもまたバイバイするの寂しい…。 凪くんとも離れたくないよ…!」 平九郎も紅葉にすり寄って慰めているようだ。 「家族のいるドイツより、俺と日本にいることを選んでくれるの?」 「うん…。凪くんがそれを望んでくれるなら…」 「…紅葉と一緒にいたいよ。」 「僕も。…凪くん大好き…。 ね、もう一回したいな…、ダメ?」 「俺は嬉しいけど、明日ツラくなるぞ?」 既に深夜、いつも紅葉は寝ている時間なので心配するが… 上目遣いで見詰められた凪は紅葉の顔に手を添えながら口付けた。 「その顔可愛い…。 めちゃくちゃ甘いやつしよっか…。」 凪に微笑まれて紅葉は嬉しそうに頷いた。

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