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第98話
「小山内…やりすぎだよ。
学生課通じてヴァイオリン科にもクレームが来てる。このままじゃあ親のコネがあっても楽団に入るどころか卒業も危うくなるぞ。」
小山内はしばらく俯いたあとデータが入ってるだろうSDカードを取り出した。
「探偵に頼んだからこれだけ…
家の場所は把握してない。」
「弘中センセー、…全部確認して。」
「マジだって!!」
「てめえのことなんか信用するか!クズっ!
弘中…!」
「こちらとモバイルデータ、パソコンの中身もも確認させて下さい。後程、探偵社にも確認します。」
「マジでっ?!」
「クライアントである社長…Linksのリーダーから徹底的にとの指示なのでご協力下さい。
あと紅葉くんの荷物は?」
「向こうに…」
「そちらも返却を。
全て確認致しましたらこちらの誓約書にサインお願いします。」
弘中弁護士がデータを確認している間に神谷は帰宅することになり、凪はお礼を言って見送った。
「助かった。疲れてるとこホントにありがとう。」
「いいえ。コンクールの時に妹が紅葉くんにご迷惑かけたみたいで…!その代わりというか…風夏がお2人のこと推してるって言ってたんで、俺も力になれて良かったです。」
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全てのデータの確認が終わり、小山内は今後大学内外で紅葉と会っても接触しない旨を約束させる誓約書にサインし、凪と弘中弁護士は紅葉のヴァイオリンと荷物を持って帰宅することになった。
すっかり疲れきった様子の小山内は壁にもたれて立っている。データの確認作業に立ち会い、眼精疲労が酷いようで目頭を押さえていた。
凪は弘中に荷物を預けると、小山内を一睨みする。そしてーー
「凪さんっ!」
ガンっ!!という大きな音が聞こえたのは小山内のすぐ横の壁…
音楽を奏で、料理を作る手はこんなやつのために汚せない…。
そう思った凪は無駄のないフォームで回し蹴りを決めた。
「てめぇのやったことは許さねぇからなっ!!
次俺らに近付いたらお前の顔もその壁みたいにしてやるよ。
あとな、てめぇは音楽やる資格ねーよっ!!」
凪にそう言われた小山内はズルズルと背中を壁に擦りながらしゃがみこんだ。
「…申し訳ありません。
修理代は後日…先ほどお渡しした名刺の連絡先にご請求を…。
本日は失礼します。」
弘中は一礼して凪を追って部屋を出た。
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