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第105話

7/23 ツアーリハーサルでリーダーの光輝からOKが出たので無事に九州へ向かうことになった紅葉とメンバー一同。 初めて訪れる都道府県もあり、会場は小さいが各地で熱いLIVEを繰り広げ活躍を魅せるLinks 紅葉のヴァイオリンにセキュリティガードもつけてもらい、安心してLIVEに集中することが出来た。 スケジュールは余裕を持っているため、明き時間には少しだけその地域を観光したり、急遽決まったローカルTVやラジオに出演したり、宣伝活動にも対応していく。 今回は福岡まで飛行機移動、レンタカーで広島、長崎を周り一度帰京する。 広島では「紅葉まんじゅうを食べる紅葉」をバンドのツイッターにアップしたり、 長崎では誠一の誕生日をステージでカステラケーキを用意してお祝いした。 「メンバーイチ夏が似合わない誠ちゃん、お誕生日おめでとう! 長崎の特産品カステラを使ったケーキだよ!」 「ありがとう! すごいねー!甘そう…(苦笑)」 「ホントはお酒にしようかと思ったの。 シャンパンタワーとか…でも運ぶときに崩れるし、ホストクラブみたいになるから却下になったよ(苦笑)」 カステラにハマった紅葉はいろいろな味をお土産に買っていた。 LIVE後 メンバーで食事をとったあと、凪と紅葉はタクシーで海へ向かった。 昼間は茹だるような暑さだが、夜になり多少蒸し暑さはあるが、日差しがない分マシに感じる。 波打ち際で遊ぶ紅葉に「気をつけないと水かかるぞー」と注意した瞬間、大きめの波が来たらしく、慌てて逃げ跳ねる紅葉… 「靴濡れたぁ…(笑)」 「だから言ったのに…(苦笑)」 LIVE後だというのに元気な恋人は今更ながら靴を脱いで裸足で海水に入ることにしたらしい。 「凪くんもおいでよー!」 「そんな若さねーよ(苦笑)」 結局紅葉に手を引かれて凪も裸足になる。 波打ち際まで行き、月明かりに照された波を眺めたり、膝下まで浸かりに行き、冷たい海水で涼をとり、つかの間の夏を楽しんだ。 「そろそろ帰るか…。」 「うんっ!」 「紅葉、タオル持ってるんだよな?」 「リュックにあるよー!」 「良かった。」 明日は昼間にこの海の近くの特設ステージで行われるフェスに出演して、夕方には帰京予定だ。帰ってゆっくり休まないとと、海を背に浜辺へ向かおうとした時… 「うわぁあーっ!」 「なっ!!」 急に叫ぶ紅葉を支えようとしたが、間に合わず、尻餅をつく紅葉… 「…何やってんの?!」 「何かが足にっ!! サメかも!!」 「こんな浅瀬まで来ないって…! …ただの海藻じゃん(笑)」 「ほんとだ…(苦笑)」 「どーすんのコレ…!ビショビショじゃん!」 「パンツまで濡れたぁ…!」 「イヤな予感はしたんだけど…期待を裏切らないよな…(苦笑) …リュック浸かってるけど平気?」 「わー、ヤバいっ!!」 慌てて確認すると、スマホは無事だったが、タオルは濡れてしまい使い物にならず… 仕方なく、しばらく貝殻を拾いながらゆっくり砂浜を歩き、乾いたところで砂を払って靴を履くが、紅葉の濡れた服はどうにもならない… ずぶ濡れ、砂まみれではタクシーにも乗れないので夜中の海岸沿いを歩くことに… 凪がスマホでルートを調べると滞在先のホテルまで約7kmと表示される…。 「マジかよ…っ!」 みなならランニングして帰るだろうが、LIVE後、特に紅葉には酷な距離だった。 「うー…。ベタベタするー…! 靴も気持ち悪いよぉ。」 「………。」 凪は目についたコンビニに入ると観光地ならではのビーチグッズコーナーを見つけて、ビーチサンダルと…とりあえずタオルと下着、ついでに飲み物も買った。 「わぁい! お揃いだぁ!」 凪も砂の入った靴が不快だったため、色違いでサンダルを買って、2人でコンビニの前で履き替えると紅葉は安物のビーチサンダルだが凪とのお揃いだと喜ぶ。 「そういえばお揃いってあんまりないよな。食器とマグとキーケースくらい?」 「うん。嬉しいー!」 「紅葉くん… ホテルいこっか?」 「うん!帰ろー!あと何キロくらいかな?」 「まだ1kmも歩いてねーよ(苦笑) そーじゃなくてこーいうホテル行く?」 凪がスマホ画面を紅葉に見せる。 地図アプリ上にはハートマークと以前合宿の休みの日に凪と行ったようなホテルの外観写真が出ていた。 「えっと…っ!!」 「こっちの方が近いし、寝てる間に服乾かして朝イチで戻ればいーよな?」 「……そうするっ。」 海水でベタつく不快感から疲れと眠気がでてきたらしい紅葉がそう答えたので2人は街の裏道の方へ歩き始めた。 ホテルの入口まで来てソワソワする紅葉の手を引く凪… 「見られてない? 大丈夫かな…?」 「堂々としてな。 一応ビジネスプランもあるとこだから誰かになんか言われたら言い逃れ出来るよ。」 「うん…っ!…でも恥ずかしい…っ。」

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