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第123話

その後はツアーで回った地方の想い出話にも華を咲かせて、東京でのファイナル公演への意気込みを語った。 イベントの目玉は私物プレゼント 予めチケットの半券を私物が欲しいメンバーのBOXに入れてもらい、くじ引きで当たった人が貰える仕組みだ。 誠一は 「手ぶらで関西行っちゃったから、同じ香水が2つ開いちゃって…」 「これGUCCIだっ(笑)」 みなの指摘に紅葉が立ち上がって手を挙げる。 「僕、欲しい! いい匂いのやつ!」 「なんかテキトーな紙に名前書いて誠一のBOXに入れたら?(笑)」 凪も乗り気で言うが、 「紅葉くんにはお誕生日にでも買ってあげるから…」と、誠一に宥められて大人しく席につく。 「あとはサングラスと旅行用のシャンプーとコンディショナーとボディソープ…BOTANISTのやつです。 間違えて5セットもネットで買っちゃったから使ってない3つ。」 「誠ちゃん、そこは使いかけのやつの方が嬉しいんだよ?」 「あ、そうなの?(笑)」 「豪華だねー! 僕のは大した物じゃないけどごめんね(苦笑)」 光輝からは黒のキャップが2つとブランド物のポーチ、ネックレス、ワイヤレスヘッドフォン 「ワンシーズンくらい使ったんだけど…こんなので大丈夫かな? いらない?(苦笑)」 「嬉しいよね? サイン書けるやつは今書こうか。」 誠一がそう言い、2人はサインを入れていく。 凪からは「九州と東京のフェスで使ったドラムスティック…LIVEだとアンコールの時に投げてあげちゃうけど、フェスではその機会がなかったから、プレゼント用にとって置いたんで…サイン入れるね。あとサングラスとこれはドレッシングつくれるやつが2つ…手書きレシピつきで(笑)」 みなは「ブレスレットと顔をコロコロマッサージするやつ、サイズが大きかったキャップ、ANNA SUIのマニキュアとポーチ…これメンズに当たったらどうしよう?(苦笑)」 「大丈夫だよ。うまいことさ…交換したり、彼女やお母さんにあげたりして使って(笑) あ、メルカリとか転売は禁止です。」 光輝が補足した。 紅葉は「僕…大した物じゃないんだけど… 平九郎の写真で作ったタオル2つと京都で買ったあぶらとり紙と使ってないリップクリームのセット…このお顔、夜見ると怖いからあげるね。 あとは携帯型扇風機!これは使えるよ! 最後はルームウェアのワンピース…2つ買ってこっちはあんま着てない方だから…ヘアバンドもセットだよ!」 いろいろ思い出した凪がこっそり吹き出していた。 「え、家でこれ着てるの? 随分カワイーね(笑)」 従姉妹(みな)にからかわれる。 「あとはバンドのステッカーが少しあるかな。 これは私物の抽選のあとで20人にプレゼントします!」 それぞれメンバーが抽選のくじを引き、当たったファンの子に手渡しでプレゼントしていく。 「あとは告知ですね。」 リーダーの光輝が切り出す。 「ちょっとご縁があって、秋に教育関連の偉い方々と合同でイベントをやります。 音大生と意見交換したり、アコースティックで一緒に演奏もちょっとあったり。 あと中学、高校生の制服選択制について話したり、制服がやいろんなことがきっかけで不登校の子やLGBTSに悩む子たちを招待して親子コンサートもやることになりました。 みながピアノ弾いて、紅葉もヴァイオリンを弾いてくれます。 ロックミュージシャンとしては異例の道だけど、まぁ新しいこともやっていかないと…ね。」 「生き残れないからね」誠一がしみじみと言う。 「そうだね(笑) あとは北海道フェスの翌日にイベントLIVEにお誘いいただいたので、それも出ます。」 「ちょい待て!それ初耳!…だよな??」凪が確認する。 他のメンバーもマイクなしで身を乗り出して話し出す。 「うん。今初めて言ったよ。急遽決まったんで、これ終わったらミーティングね。」 光輝は笑顔でみんなに告げた。 「出た!また仕事増やして来てるよ(苦笑)」と凪。 「有難いけど、こんな調子だから夏休みなくなるんだよね(苦笑)」みなの台詞にメンバー全員で頷いた。

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