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第128話※微R18

2218 「紅葉ー! 帰るぞー!」 みなと光輝のマンションへ紅葉を迎えに来た凪が玄関で声をかける。 「凪くんっ! お帰りなさい! お疲れ様ーっ!」 玄関まで走ってきた勢いのまま凪に抱き付いてギューっとしている紅葉を見て光輝が羨ましそうな視線を送る。 新婚夫婦より新婚っぽいバンド内恋愛中の同性カップル… 「凪、荷物…」 「あー。はいはい。どれ?」 光輝に部屋に溢れた荷物を一時的に置かせて欲しいと頼まれて引き取りに来たのだ。 その荷物のせいで光輝は寝る場所を失っているらしい…(苦笑) きちんと整頓されているが、機材や資料などで物が増えたリビングは確かに2人で住むには手狭に見える。 「どっかいい土地ないかな…。」 「え、家建てんのっ?!」 「グランドピアノ、ギター、その他機材、ペット(みなの希望)…そのうち家族が増える(光輝の希望)ことを考えると一軒家が妥当かと…。 誰か知り合いでいい不動産屋さんいない?」 「いねーよ、そんなの…。 あ!待て! …1人いたわ。 しかもめちゃくちゃ近くに! うちの大家、地主で不動産もいろいろ持ってるらしいよ(笑)」 「えっ?! 本当に? 紹介してよ。」 「いーよ。」 そんな話をしていると、奥からみなが出てきた。 「あ、お帰り。 レアチーズケーキ作ったけど、凪たち半分持ってく?」 「何だってっ?!どーしたの? え、今日記念日だっけ?」 光輝が妻の手作りスイーツに興奮した様子だ。 「…食べたかったから紅葉の宿題見ながら作っただけなんだけど…ダメなの?」 「いえっ!! す、すごいね!! それは…俺も食べていいのかな…?」 「今食べるの…? いーけど… もうちょい冷やした方が美味しいかも…。 凪たちも食べてく?」 「邪魔しちゃ悪いし、家で食べるよ。 あ、ちょっとでいいよ。光輝にあげな。」 「ケーキ…っ!」 たくさん食べたかったのだろう、紅葉の視線がケーキから離れない。 「明日プリン作ってやるから我慢して(苦笑)」 「凪くんのプリンっ?! やった!!」 どうやら勉強で頭が疲れたのか甘い物が食べたい様子の紅葉。 お土産のケーキと、光輝の荷物を少し預かって帰宅する。 2250 「ん。」 玄関で平九郎に熱烈な"お帰り!"の洗礼を受けながらキスを交わす。 「宿題…終わったの?」 「うん。でもまだあるけど…。 今日はもうおしまいでいいよね? チューしないといけないから…!」 「そうなの?() まぁ、いーけど… って、平九郎!(笑)」 凪の足に前足をかけて構ってアピールをする平九郎。 「寂しかったね。お留守番ばかりでごめんね。 平ちゃんもギューしてチューしよ。」 「……間接キス? なんかヤだな…(苦笑) 次のチューは歯磨きしてからね?」 たっぷり平九郎と遊んでから、みなからもらったレアチーズケーキを(紅葉が多めに)食べて、今日は疲れたので温めの湯船に2人で浸かる。 「…幸せ…っ!」 凪の肩に頭を預け、お腹の辺りを支えるように抱き締められた紅葉はそう呟くと、凪も「俺もだよ」と返して、手を繋ぎ、口付けた。 一緒に音楽を創り、一緒に暮らす。 ただそれだけのことなのにこんなにも幸せで愛おしい…。 126 今朝たてつづけにしたのでそういうつもりはなかったのだが、ベッドの上で雑談しながらイチャイチャしているとちょっとスイッチが入る2人… 「ん…っ。や…、ぁ、ちょっと…!」 「触るだけ。 …イヤ?」 「だって…!…いっぱいしたよ…?」 「…珍しい。紅葉の方が焦らしてくる…! 昨夜の仕返し?(苦笑)」 凪はそう笑って、紅葉と目を合わせ、左手を取ると口付け、そのまま細くて長い指を舐める。 「えっ、あ、何…?!」 「誘ってんの…。 キレイな指…。 今日も頑張って弾いてたね。 ちゃんと立って弾けて良かったけど、なんであんなキレイなの?」 中指を口に含まれて歯と舌の上を滑るようにされると、まるで口淫をされているような錯覚に陥る紅葉…。 顔を赤らめて、正面の恋人を見上げ、ゆっくりと腕を伸ばした。 凪はそれを合図に指を離すと紅葉の腰を抱き寄せて、顔を抱え込みながらキスを贈る。 「ん…っ。」 紅葉を押し倒してディープキスを何度も繋ぎながら、部屋着に手をかけた、その時… ベッドサイドに置いたスマホが震えた。 「……。」 驚いて唇を離す紅葉と、構わず続きを…と手を伸ばす凪。 「電話…。 翔くんみたいだよ?」 先輩からの電話に仕方なく通話をスライドする凪…。 「凪ーっ! 助けて! お子様ランチってどーやって作るのー?! 唐揚げってフライドチキンと何が違うのー?! とりあえず鶏肉油にぶっ込めばいいわけー?!」 だいぶ騒がしい会話はビデオ通話に切り替わり、紅葉の弟たちが次々と画面を乗っ取る。 後ろでは珊瑚が声を上げて「いいからこれを運べ!」と翔に言っているので、どうやら2人とも無事に珊瑚と紅葉の実家に着いていて元気らしいことは分かった。 テンションの高い弟たちの様子に先ほどまでの熱はどこへやら…紅葉も笑顔を見せる。 「ナニィ!(凪)」とみんなに呼ばれ、凪もカタコトのドイツ語で名前を呼び、1人1人に挨拶をする。 「なんか凪が来ると思ってたみたいで! イテっ! 足踏むなよ! …お子様ランチと唐揚げと肉じゃがが食べたいって泣かれたんだけどっ!!」 「ははっ!仲良くやってるみたいじゃん。」 「仲良くって言うか、子どものパワーってスゲーね!元気過ぎて体力使うし、あれこれ世話焼いてたらあっという間に1日が終わって…。 ヤる元気もねーよ…。」 「健全に過ごせて何よりじゃん(笑)」 「テメー、喋ってないで働けよ! 何しに来たんだよ!」 「あ、ごめんね珊瑚。 拗ねないで。」 「みんな珊瑚と翔くんの言うこと聞いてねー!」 紅葉がドイツ語でそう言うと「カケ、サニィ(珊瑚のこと)に怒られてばっかりー!(笑)」と言い、「ナニィ(凪)とモーリィ(紅葉)はいつ来るの?」「お子様ランチ作ってくれる約束はー?!」ばかり言われてしまった。 「こりゃあなるべく早く行かないとだな(笑)」 凪と紅葉は顔を合わせて改めてそう思ったのだった。

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