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第130話
※今回は同じ時系列のお話をそれぞれ紅葉視点、凪視点でお送りします。
紅葉side
最近の凪くんはモテ期ってやつなのか…
いや、今までもずっとモテてるけど…
綺麗なお姉さんはもちろん、
僕と同居(同棲)してるってウワサを聞いたのかな…
男の子にまでモテ始めました。
仙台でのLIVEのあと、すっごい可愛い子から告白されてるところをたまたま見てしまってまたモヤモヤが胸の中に溢れてきたんだ…。
もちろん、凪くんは丁重に断ってくれてて、すぐに僕の隣に戻ると"大丈夫だよ"って言って頭を撫でてくれた。
その後の打ち上げでは名物だという美味しい牛タンを焼いてくれて、勧められるがまま食べてたら少しずつ気持ちも落ち着いてきて、デザートまで食べたよ。
2種類も。
"さすがに太るよ"ってみなちゃんに言われてまたしょんぼり。
最近は気分の浮き沈みが激しい…。
福島では水族館にも連れて行ってもらった。
初めての水族館にドキドキ…。デートだし!
いつもよりちょっとだけおしゃれをして、お揃いのキャップとサンダル(ビーサンじゃなくてちゃんとしたのを買いました)でお出掛け!
もうそれだけで嬉しくてテンションが上がっちゃう!
同じ物を身に付けていて、服も2人とも黒系なのに凪くんはめちゃくちゃカッコよく決まっていて、みんなに"このカッコいい人、僕のカレシなんだよ!"って自慢したいくらい!!
少し暗い館内を巡っていると、人が多くて迷子になっちゃってあわあわしたり。
でもすぐに凪くんが見つけてくれて、初めて会った日のことを思い出したよ。
凪くんはどこにいてもちゃんと僕を見つけてくれる。
無事に再会出来てからは手を繋いで歩いていたらファンの子に見られるし…。
やっぱりお家で2人きり…あ、平ちゃんも一緒の3人が一番落ち着くなぁ…。
イルカさんのショーは大迫力ですごかった!
すいすい泳いで気持ち良さそう!
仲間と息の合った高いジャンプもカッコイイ!
可愛い鳴き声にもめちゃくちゃ癒されました!
思わずアイスを食べる手も止まるくらいに夢中になって、すごく楽しいデートだったなぁ。
紅葉side End
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凪side
紅葉は俺ばかりが告白とかされてると思っているが、あいつもよく人から(基本男から)好意を寄せられている。
目をひく綺麗な容姿に、屈託のない笑顔、真面目で裏表がなくまっすぐな性格。
モテないわけがない。
この前も一緒に髪を切りに行ったら美容師の男に口説かれていたが、本人は全く分かってなくて、俺は相手を牽制するどころか思わず笑ってしまったほどだ。
紅葉に寄ってくるのはわりと本気のヤツか、いつかのストーカーのようにヤベーヤツの二択でわりと厄介だ。
俺に寄ってくるのは遊び目的のヤツがほとんどで、この前のLIVE後に出待ちされた男は断ったら舌打ちしてきやがった…。
…こんなんばかりだ。
水族館に行ったことがないという紅葉を、地方LIVE前日に遊びに連れて行けば、早速目を輝かせて大きな水槽の魚たちに夢中だった。
俺は少し後ろからその様子をながめていたのだが、気がついたらはぐれていて焦った。
すぐに道を戻れば心細そうに周りを見渡す恋人の姿。帽子を深くかぶっていてもその不安そうな瞳は見間違えることはない。
「いた。 次行くよって言ったじゃん!(笑)」
「聞こえなかった…。
ごめんね、凪くんを迷子にして。」
「いや、迷子はお前の方だって(笑)」
仕方ない、デートだしと手を繋いで順路を巡って行けば、ギョっとした顔で見てくる人もいるし、ひそひそ話を向けてくる人もいた。最終的にはファンの子たちに見つかるし…(苦笑)
"普通にデートだよ。
君たちも?
LIVE前に遊んでるのバレたら光輝に怒られるから内緒にしてね。"
と、告げて人混みに紛れる。
ソフトクリームを買い与えてショーを見せれば、満面の笑みの紅葉。
"舐め食べる口元がエロいな…"と不埒な思考を巡らせていたのも数分…ショーに夢中になって食べることをストップさせた紅葉のソフトクリームがどんどん溶けていき、大慌て。
なんとか溶け落ちる寸前で食べさせた。
土産はまた小さなぬいぐるみがいいらしく、またここにはいなかったマンボウを選んできた。
「みなちゃんにエビさんあげるっ!
好きって言ってたから。」
「…それ食用の方じゃね?
北海道でカニとエビどっち食べたいかって話で…
まぁ、いいか。」
久々のデートは楽しかった。
凪side End
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