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第134話※微R18
「もう少し頑張っていろんなこと出来るようにならないとだよね…。何だっけ?オモチャ?とか?僕、全然ダメだね…。
すぐ怖がってばっかり…。」
ピロートークで紅葉がそんなことを口にするので思わず聞き間違いかと驚く凪。
「何て…?
オモチャ?
…どこの誰の入れ知恵?…珊瑚か?(笑)」
「うん、あとお手紙に書いてあったよ。
"男同士のカップルはどんなオモチャ使うんですか?"って。みんな使うの?」
男からのファンレターだと聞いて、内容を真面目に受け取る紅葉に頭痛を覚える凪。
「世間にはいろんなカップルがいるからな…。
他所は他所だろ?
紅葉が怖いなら俺はやりたくない。」
「うん…。
凪くんがそれでもつまらなくないなら…」
「ちょっと待て。
つまらなくないって何だ?
紅葉は俺が我慢してるとか不満もってると思ってるの?」
「だって…僕、本当にこどもっぽいし。
全然上達しないし…!
いつもすぐ我慢出来くなるし…!
体力ないし…。
凪くん、最近いっぱいしてくれるけど、
いつか飽きられるんじゃないかなって思って…!」
紅葉の思考の絡まり具合に驚く凪。
なるほど、プリプリしてたのは怒ってたわけじゃなくて焦りからだったらしい。
「ちょっと真面目に話し合おう…。」
そう切り出した凪は紅葉と共に服を着て向き合う。
「俺はフツーに満足してるよ?
ただ単純に好きだから、抱きたいからSEXしてたけど、紅葉は不安だったってこと?」
「僕も同じ気持ちだよ…。
でも…凪くんは他の人とも経験があるし、僕より年上だから当たり前だけど…分かっててもどうしても不安になるんだ…。
凪くんのせいじゃないよ?!
あの…ホントに自分に自信がなくて…。
今だってゴム1つで大騒ぎして雰囲気台無しにするし…!
大好きなのに…こんなちょっとしたことで上手く出来なくて…嫌われるんじゃないかって。
凪くん…僕どーしたらいい?」
年齢差も経験値もどうしょうもない。
凪は過去の恋人と紅葉を比べたりしてないし(そもそも性別が違うし)、紅葉の抱える不安は2人で乗り越えていくしかない。
「どうもしなくていいよ…。
アホ。考え過ぎ…。
大丈夫だから…!
紅葉のこと好きだし、愛してるから…
別に出来ないことがあってもいいんだよ。
俺はそんなことで嫌わないし、他に目を向けたりしない。」
「うん。信じてる…けど…。」
「最近ちょっと横槍がいろいろあったからな…。あと確かに最近ちょっとヤり過ぎ…?
お前ちゃんと休めてないもんな…。
人間きちんと休まないとろくな考え出来ないもんなんだよ…。
うん、そこは俺の責任でもあるな…。
よし! しばらくSEX禁止。」
「えっ?!」
「ヤったあとで説得力ないけど…たまには純愛期間にしよーぜ。」
「…??」
「キスとハグと一緒に風呂はありだけど、それ以上は禁止ね。」
「え…? いつまで?」
「キリよくファイナルまで…?
え、長…っ!(笑)」
「やだ…。
浮気、心配…っ!!」
「しないって(苦笑)
基本的にずっと一緒にいるじゃん…!
分かった。期間は決めなくていーよ。
紅葉の気持ちが落ち着いて、不安なく俺とSEXしたいって思えるようになるまでね。
無理なく試してみよ?」
「凪くん…」
「大丈夫、ちゃんと惚れ直させてみせるから。」
「…これ以上好きになったらどーなるの?」
「ははっ。
その答えも見つかるんじゃね?
…もう寝な。明日って時間大丈夫なんだよな?」
「うん。平ちゃん、大家のおじいちゃんのお家で見てもらえることになったから。」
池波の息子家族が夏休みでプラハから帰国しているらしく、たまたま台風の心配をしてかかってきた電話で相談したら、息子さんが朝イチで平九郎を引き取りに行き、凪と紅葉が帰宅するまで世話を引き受けてくれることになったのだ。
本当に周囲に支えられていると感じる。
「じゃあ10時くらいに出て、お礼にお土産買って帰ろ。…おやすみ。」
頬にキスを落とした凪は紅葉を抱き締めて共に眠りについた。
翌朝…
「これ、頼まれたやつ。あとスポドリも多めに買ってきた。」
凪はみなの部屋にドラッグストアで買ってきた風邪薬や冷えピタ、レトルトのお粥が入った袋を差し出す。
光輝が風邪をひいたらしい。
「ありがと。助かった。
帰る前にごめんね。」
「いーけど…光輝大丈夫?」
「昨夜雨に濡れたからかな?
飲み会やら続いてたし…あと過労?(苦笑)
部屋空いてるみたいだから今日は休ませて、熱下がらなかったらまた今日も泊っていくかも。
だから免許取らせてって言ってるのに…。」
「了解…。仕事は?平気?」
「デスクワークだけみたいだから大丈夫。」
熱があってもPCへ向かおうとする光輝をみなが止めてるらしい。
「じゃあ帰り道気をつけてね。
紅葉も疲れ出ると熱が出やすいから…」
「分かってる。
お前もうつされないようにな。」
凪はそう告げて紅葉の待つロビーへと戻った。
無事に東京へ戻り、自宅へ着いた2人はお土産の桃の箱を持って池波の家へ向かった。
平九郎は池波の孫たちに遊んでもらっていたらしく、いつも以上にハイテンションで出迎えてくれた。
「ありがとうございましたっ!」
「せっかくの家族団欒のところを急にすみません…。ホントに助かりました。」
紅葉に続き凪も丁寧にお礼を言い桃を渡すと、
「普段とてもお世話になっているみたいでこちらこそありがとうございます。
お役に立てて良かったです。」
と、プラハのお土産をくれた。
「これ美味しいやつ!
懐かしいーっ!」
紅葉は貰ったお菓子に大喜びだった。
「そーいえば翔くん無事に帰ってきたかな?」
凪が紅葉の双子の兄、珊瑚の恋人となり、ドイツへ子守りの手伝いとしてついていった先輩のことを考えていると、その日の夜、翔から連絡が来たのだった。
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