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第135話
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「やっほー!久しぶりっ!
さぁ、どんどん詰めてってね!
欲しい物があったら持ってっていーよ!」
「何で急に引っ越し?
しかもこのクソ暑い中…」
凪は翔に呼び出されて、いきなり引っ越しの片付けを手伝いに来ている。
ドイツから帰国してどんな心境の変化だろうか…
「いや、真面目に貯金しよーと思ってさ!
今回マイル貯まってたからほぼ金かかんなかったけど、ドイツまで飛行機代けっこー高いし…!
あ、それお土産ね!持って帰って!
チビたちがみんなで小遣い集めて紅葉くんにお土産買ってたよ。なんかもう感激しちゃってさ!
俺なんか無駄遣いばっかだし…。
そこは少しずつしか直んないかもしれないけど、家賃はさ、一番デカイじゃん?
俺なんか1年の半分くらいツアーでいない訳だからどーせ寝に帰るだけだし、もっと手狭で安いとこでいーかなって!
引っ越すなら早い方がいいし!
向こう(ドイツ)から電話して今月中に出るって言っちゃったんだよね!!
珊瑚がこっちに遊びに来た時、紅葉くんやみなちゃんにも会いやすいようにこの辺から凪の家の近くで探してるんだー。」
「なるほど…?
相変わらず行動力がスゲーけど、今月中ってあと3日?しかなくね…?(笑)
即入居可のとこじゃないとヤバくない?」
「だよねー…。
見つからなかったら泊めてくれる?」
「今紅葉が風邪ひいてんだよね…(苦笑)」
そうじゃなくても翔と紅葉が家で2人きりになるのは凪の気持ち的に微妙だ。
翔のことは信頼しているが、ストーカー事件もあったし、紅葉が精神的に不安定な今、出来れば3人での同居は避けるべきだろう。
珊瑚もきっといい気はしないだろうし…。
「マジかぁ!
じゃあ早く帰らないとまずいね!
よし、どんどん片付けちゃって!!」
「はいはい…(苦笑)
あ、うちの大家紹介するよ。
不動産でマンション持ってるらしいから…。
ってか、紹介すんの今月2件目だ(笑)」
昨夜
「だから言ったじゃん。
菓子食べてもいいけど、晩飯前だから食い過ぎるなよって。俺、メシ作りながら2回は言ったよな?」
珍しく夜ご飯を残す紅葉に凪はそう告げた。
「ごめんなさい…。」
「せっかく手の込んだやつ作ったのに…。」
夏の疲れが取れるようにとチャーシューを一から仕込み厚めにカット、消化を助ける小ネギを刻んでどんぶりに乗せチャーシュー丼に。
野菜スープも様々な種類を細かく刻み、いくら冷房をつけていても火の側は暑いのだが、紅葉に少しでも元気を出してもらおうと好物のベーコンと一緒にじっくり煮込んだのだ。
生姜を乗せた揚げ出し豆腐も凪の自慢の一品だが手付かずで小皿に残っている…。
凪は思わずタメ息をついた。
その様子を見て紅葉も反省したのか、時間をかけながらも少しずつ食べ進めてなんとか半分くらいは食べた。
「凪くん…ご飯残してごめんなさい…。
残りは明日の朝食べます。
平ちゃんのお散歩行ってからお片付けするね。」
いつもならここで"俺も一緒に行く"と声をかけるのだが、今日はさすがにその気分になれず、凪は黙って後片付けを進めた。
そしてそのうち、いつもの散歩時間30~40分を超えても帰って来ない紅葉が心配で仕方なくなる。
少しずつ日が暮れるのも早くなり、外はもう真っ暗だ。
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