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第140話
「お腹がすいた…
ラーメン食べたいよぉ…!」
紅葉の訴えに凪は車を走らせた。
昼が遅くてボリュームのある海鮮丼を食べたが、確かに小腹が空いてきた。
ケージの中でお利口に眠っている平九郎を起こさないように出掛けて、小さなラーメン屋に入った。
「絶対太るけど大盛にするっ!!」
紅葉はよっぽど空腹らしい。
「また運動すればいーよ。
まだ旅行は続くんだし?」
凪がそう言うと顔を紅くしながら「もう…っ!」と答える紅葉。
翌日は夕方早めの時間から急遽出演が決まったLIVEHouseでのイベントに出演。
紅葉は外国人アーティスト(男)に声をかけられていた。
すぐに凪の元に走ってきて、珍しく人前で凪の腕を取るのでナンパかと察した凪は相手を睨み付けた。
向こうが話かけてくるが、残念ながら挨拶以外のネイティブの英語は理解出来ない凪…。
紅葉は「No!」と言ったきり相手と目を合わせなかった。
すぐに光輝が飛んできて、笑顔で流暢な英語を話しながらナンパ相手を撒いてくれたが、その男がみなにも声をかけると光輝の笑顔が消えてまだまだ真夏の暑さなのにブリザードが吹いたようだったとか…。
すかさず誠一がフォローしに走る。
「何て?
ナンパでしょ?」
凪が聞くが紅葉は怖かったのか首を振るばかりだった。せっかく楽しく過ごしてきたのに…凪はイラついていた。
「バカなナンパ野郎だよ。
カレシと3人でもいーからみたいな?
可哀想に…日本の暑さに頭やられたんだね。
紅葉、あんなの気にしちゃダメ!」
「メロンでも食べる?」とみなに聞かれ、カナに持ってきてもらったタッパーに詰まった小さくカットされたメロンを口にする紅葉。
「美味しいっ!
凪くんも…!」
フォークを向けられて、大きめのメロンを勧められた凪は普段なら自分でフォークを受け取って食べるところを紅葉の手から口にして、しかもその果肉の半分を紅葉の口に押し込んだ。
「んぐっ!」
全く色気のない声をあげながら、紅葉はなんとな凪とメロンを半分子して食べたのだった。
みなは笑ってカナとカメラを向けている。
「今の…びっくりして味分かんなかった……。」
「もう一回やる?」
乗り気の凪に、戻ってきた光輝が頭を叩いた。
「調子に乗らないっ!
もうすぐ出番だよ。」
「いてぇ…!
ねぇ、何で叩いた?(苦笑)」
「凪の商売道具、はい。」
ドラムスティックを手渡した光輝は「今日もよろしくね」と告げた。
無事にイベント出演を終えたLinksは、場所を移動してイベントに誘ってくれた地元バンドの仲間たちとジンギスカンを楽しんだ。
「美味しいお肉だね!
何のお肉?」
知らなかったらしい紅葉に地元のバンドマンが「羊、ラムだよ。子羊だからやわらかくて臭みもないし、旨いでしょ?」
その一言に固まり、箸が止まる紅葉…
「羊さん…っ!!
子羊ちゃん……?」
紅葉のリュックには羊の小さなぬいぐるみ(アルパカと間違えて購入)がついていて、愛着があったのかしょんぼりする。
「あー…違うの食べる?」
気を遣ってくれる仲間に凪はフォローをいれた。
「紅葉、ちゃんと食べな。
せっかく焼いてくれてるんだぞ?
メシ終わったらアイス食べてもいいから…」
「うん…っ!
…美味しい。お肉いっぱいくれてありがとう。」
「小柄なのによく食べるね…(笑)」
「ねー、男同士でバンド内恋愛中ってホント?」
「えっとね…、秘密なんだよっ。」
「紅葉…っ!(苦笑)
ってか、お前が切ったニンジン分厚いんだけど…」
「ニンジンは生で食べるのが一番美味しいよ!
ねっ!」
「さあ、どーぞっ!」と言って、地元バンドのメンバーの皿にニンジンを乗せていく紅葉…
和やかに食事を済ませ、再び宿へと戻った。
「平ちゃんー!
明日帰るんだって!
帰りたくないねー!」
「また来よう。
って言っても北海道はちょっと遠いからな…。
まぁ、近場でキャンプとかなら手軽に出来るし、平九郎と一緒に遊べるぞ。」
「キャンプもいいね。
カレー作って食べたいっ!!」
2人は北海道での想い出を振り返ったり、これからどんなことをしたいかを楽しく語り合った。
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