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カポーンと馴染みの効果音を響かせ、柊一郎は湯船に浸かっていた。
今日一日の疲れが吹き飛ぶようなお湯の心地良さに長く息を吐く。
ゆきはいつも柊一郎が帰宅するタイミングに合わせて風呂を沸かしてくれている。
それは柊一郎が帰宅後一番に風呂に入ることを熟知しているからで、毎日柊一郎好みの温度で湯に浸かれるように調節していてくれるのだ。
毎日決まっているのなら何故食事か風呂か聞いたのかと疑問に思うだろうが、玄関でのあのやりとりはもはや毎日の習慣のようなもので、二人のコミュニケーションの一つなのだ。
今日も俺の嫁は可愛いな…。
表情には一切出さないが、柊一郎はゆきにメロメロだった。
毎日可愛い好きだ愛してると感じ、日を重ねる毎にその気持ちがどんどん強くなっていく。
出会った日から、結婚してから、そしてこれからも。
柊一郎は毎日最愛の人と一緒にいられてとても幸せだった。
こんな何気ない瞬間にこそ、心底そう感じる。
「(そういえば…今日は金曜日か…)」
いい気持ちで湯に揺られながら、ふと思い出す。
これは決まっているわけではないのだが、次の日が休みの日である場合、大半は夜の営みに発展するのだ。
なにせまだまだ新婚な二人はアツアツのラブラブで、致す回数も多い。
毎週のように愛を育んでいる。
柊一郎は最中のゆきの姿を思い出し、ムラっとした。
おそらく今夜もそうなるだろう、いいやそうなってみせると、一人心に決めた柊一郎は湯船の中で拳を握った。
表情は一切変わっていないが、その目には確かに気合いが漲っている。
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