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夕食を終え、柊一郎は寝室をセッティングしていた。 顔には出ないが内心とてもウッキウキである。 枕のモフモフ具合を確かめ、シーツを整え、ティッシュの箱を配置につけ、チェストに入れているゴムとローションを確認する。 ある程度用意したところで満足気に頷きリビングに戻った。 リビングでは、テレビに向かい合って設置された緑色のソファーにゆきが座っていた。 風呂上がりのようで、柊一郎とお揃いの色違いの水色のパジャマを着ている。 最近購入したもちもちクッションを抱えてテレビに釘付けになっている姿が愛らしく、柊一郎の庇護欲を高めた。 「あ、柊一郎さん!見て見て!」 隣に腰掛けた柊一郎にゆきは目をキラキラさせながらちょんちょんと柊一郎のパジャマの袖を掴んだ。 なんだなんだと思いながらそちらに目を向けると、テレビの中では最近出来たばかりの動物園の紹介をしているようで、その中でも目玉の動物が映されているところだった。 「鳥…?」 水色がかった灰色の羽に、鳥にしては高い身丈、そして大きなクチバシ。 そして最も特徴的なのがその厳ついぶっきらぼうな表情で、鋭い眼光はとてつもなく人相が悪かった。 「ハシビロコウって名前の鳥なんですけど、ふふ、柊一郎さんにそっくりってお隣さんが言ってたんですよ」 「……」 え?この顔面凶悪な鳥にそっくり? 柊一郎は表情にこそ出さないがショックを受けていた。 お隣さんにこんな風に思われているのか俺は…とへこむ。 「ふふ、ほんとに似ててびっくりしちゃいました」 ゆきの言葉が更に追い討ちをかけた。 確かに自分はあまり感情を表に出すことはないが、この、目に入るもの全てが敵とでも言わんばかりの顔をした鳥にそんなに似ているのかと言われると堪ったものじゃない。 「そ、それに…カッコいいところとかそっくりです…へへ」 だが照れながらそう呟いてはにかむゆきに一気に立ち直った。 可愛い奥さんにカッコいいと言われて喜ばない旦那がどこにいるというのだろうか。 可愛いすぎる俺の嫁と、柊一郎は眉間を押さえた。

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