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「ほら、他にも色んな動物がいて…あ!キンカジューもスナドリネコもいるんですって!かわいいなぁ」 どれも聞き馴染みがない動物の名前を上げながら楽しそうにテレビを眺めるゆき。 マイナーなチョイス過ぎて、柊一郎にはスナドリネコがネコの一種なのかなぐらいの感想しかなかったが、興奮しながら話すゆきが可愛くて、そうかそうかよかったなとほんわかしながら頷いていた。 動物が好きなんだろうなとは予々思っていたが、ここまで嬉々として眺める姿に、新たな一面を知れて嬉しくなる。 だからもっと喜ばせたかった。 「そんなに興味があるのなら、行ってみようか」 「…へ?」 「ん、ここからだと結構な距離だな。でも車でならそんなにかからないだろう」 「え、え!?」 途端テレビに向けていた視線を柊一郎に向けて、大きく目を見開かせるゆき。 その瞳はキラキラと輝いていて、柊一郎は嬉しそうだなぁとでれでれだった。 「ほ、ほんとに?…っで、でも出来たばかりだからお客さんも多いと思いますよ…?」 おずおずとこちらを伺うゆき。 柊一郎があまり人の多い場所が得意でないことを考慮しての発言なのだろう。 「それは覚悟して行かないとな」 「まだ暑いですし…」 「向こうでアイスでも買おうか。ほら、今売店の紹介をしてる」 「……っ」 感極まり、今すぐにでも泣き出してしまいそうなゆきに柊一郎は微笑んでみせた。 数少ない柊一郎の笑顔、ゆきの前では鉄骨の表情筋も緩んでしまうのだった。 「…っ嬉しいです…俺、動物園って行ったことなくって楽しみです、えへへ」 「それはちゃんとエスコートしないとな」 「はい!お願いします!」 久々のデートの約束に二人して浮き足立つ気持ちだった。 引っ越してきてから家のことだったり突然柊一郎が短期の出張に行ってしまったりと、中々落ち着いて休日を二人で過ごすことが出来なかったのだ。 折角結婚して幸せにすると誓ったのに、初っ端からゆきに寂しい思いをさせてしまった負い目があったので、精一杯甘やかしたかった。

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