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「明日と明後日だったらどっちがいい?」 「ええ!ま、待って下さい、心の準備が…っ。屋外だから虫除けと日焼け止めもいるしビニールシートも用意した方がいいのかな…?あ、行き道のおにぎりも準備して、お弁当も作ったほうがいいのかな…?」 あれもこれもとそわそわし始めるゆきに柊一郎は思わずふはっと笑ってしまった。 「じゃあ明日は一緒に準備しようか、明後日行こう」 「〜ッはい!」 まるで初めての遠足にわくわくしている子供のような無邪気さに、何でもしてあげたくなった。 一緒にもっと色んな所に出掛けて、色んな景色を見せてあげたい。 ゆきがずっと笑ってくれるだけで柊一郎は幸せなのだから。 「ゆき、」 未だ興奮冷めやらずといった様子で食い入るようにテレビを見つめるゆきに、柊一郎は構って欲しくて手を伸ばしそのまろい頰を撫でた。 手触りのいい肌をそのまますりすり撫でていると、桃色のほっぺがどんどん林檎のように赤くなってきた。 纏う空気が変わり、それが柊一郎からの合図だとゆきもわかっているのだ。 それに毎週決まった曜日に致しているので、この後の展開はゆきも理解している。 ゆきは柊一郎の肩にこてんと頭を乗せると、いいよと言わんばかりに上目遣いに柊一郎を見遣った。 だが真面目な柊一郎はここで自然とベッドへ連れて行けばいいものを、いちいち確認しないと気が済まない性格(タチ)なのだ。 「…ゆき、いいか?」 「っは、はい…」 柊一郎の問い掛けに顔を真っ赤にするゆき。 最初から答えはイエスなのだがこう改まって質問されると恥ずかしくなってしまう。 じっと穴が開くんじゃないかというぐらいこちらを見つめ顔を近付ける柊一郎に、応えるようにゆきも目を閉じた。 最初はちゅ、と触れるだけのキス。 それから何度か啄んで、腰に手を回し支えて深い口づけに変える。 「ちゅ、ふ…っはぁ…、」 舌を絡めると途端に身体をピクピクと反応させ小さく喘ぐゆきに柊一郎は堪らない気持ちになった。 一気に下半身に熱が宿り、意図せずそれをゆきの身体に押し付けると、目の前の可愛らしい眉が下がった。 唇を離し、丸いおでこに口付ける。 少し潤んだ瞳が柊一郎を見つめ、その熱の篭った眼差しに、息が上がり耳まで赤く染まった姿に鼓動が早くなって。 一刻も早く繋がりたいと、柊一郎は焦る気持ちを抑えながらリモコンでテレビのスイッチを切り、ゆきを抱えた。 余談だが、この番組を楽しみにしていたゆきの為に録画はバッチリである。

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