皇の頬に届く前に、オレの指は皇の手に囚われた。 「そなたも余を求めるか？」 皇が、掴んでいるオレの中指の先を、軽く噛んだ。 「っ！？」 「幾度問うたら、答える？」 皇はオレの中指の先にキスをして、掴んでいた手を放すと、指でオレの唇に触れた。軽くなぞるように置いていた指で、オレの唇をキュッとつねった。 「憎まれ口ばかり叩くこの口から……余の望む答えを囁かせたい」 ふいに重ねられた唇は、すぐに伸ばされた皇の舌でこじ開けられた。　 抵抗する気なんてなかったのに、強引にされると、逃げたくなる。 「んっ……んっ、ふっ」 キス、なんて、感じじゃない。口から全部、食べられるかと思った。 どんどん奥まで入ってくる舌に、喉元をざらりと舐められて、体が跳ねる。 両耳の形を確かめるようになぞっていた指が、顎にそって首に下り、鎖骨の窪みをなぞって、肩を抱いた。 逃げる舌を追われるうちに、絡み合っていく唾液が、恥ずかしいくらい大きな水音を生んで、耳に届く。 激しく求められているという実感に、下半身がビクビク反応するのを止められなくなっていた。 オレだって……欲しい。 欲しいよ。 もともとオレは男色じゃないって、お前が言ったんじゃん。そんなオレが、お前に触られて……こんな……痛いくらい……反応してるんだから、わかるだろ！ 体は本当に、嘘がつけない。 だから、わかるじゃん！そんな……泣きそうな顔して、心配しなくたって。　 皇の寝巻きの背をギュッと掴むと、皇はオレの薄い部屋着の上から、サラリと体を撫でて、左胸の中心で指を止めた。 「はあっ……」 急速に、息が乱れる。 服の上からわかるくらい、きっとオレの乳首は硬く尖っていて……皇に、触れられたがっていたんだと思う。 乳首の先端に指を置かれただけなのに、ジクジクと広がっていく快感で、痛いくらい膨らんでいたペニスに、さらに熱が籠っていった。 「あ、は……は、っ、あ、はぁっ」 呼吸が浅く、細かくなる。 もう息を整える余裕もない。 皇の指が、服の上から乳首をサラサラと撫でつけるたび、小さく体が震えて、止まらない。 「は、あ、あ、はっ……すめら、ぎ……」 唇を離されて、助けを求めるように名前を呼ぶと、皇はオレのシャツをめくり上げた。 「青葉……」 小さい声でオレを呼んで、皇の舌が、オレの乳首を包んだ。 「んんっ！」 右の乳首を爪で弾かれ、ゴクリと唾を飲み込んだ。 ホントもう……どうしよう。 モジモジと腰を動かすと、皇は乳首を舐めたまま、オレのズボンを下ろした。 皇の眼前に下半身を晒されて、一気に羞恥心が湧き起こる。 まだそんなに触られてもいないのに……オレはもう、これでもかと、勃ち上がってて……。 こんなオレ、隠していたい。 言葉なんかなくたって、バレバレじゃん。わかってるんだろ？ 自分の反応で……イヤってほど、自覚する。 オレが、どれだけ皇を、求めているのかって……。 「……良いか？」 どういう意味？わかんない。でももう何でもいいよ。 もう……何でもいいから……もっと……触っ、て。 「……ん……」 小さく頷くと、皇はまた乳首を唇で咥え込んで、オレのペニスを手で包んだ。 「あ！はっ……あ、ああっ！皇！」 「ならぬか？」 もう！いちいち聞かないでよ！ ゆるゆるとペニスを扱かれて、首が仰け反る。 「ならぬのか？」 「はっ……あ、あ、ああっ！はあっ……駄、目じゃ、あっ……はっ、んっ！……な、い……」 「ん」 皇がベッド脇に手を伸ばして、灯明皿に指を入れた。 また怖いくらいの快感に、飲まれていく予感に身震いする。 油で濡れた皇の指は、探ることなく¨そこ¨を見つけて、焦らさず快感を与えてきた。 「っ！」 声も、出ない。 声にならない喘ぎが、口から漏れていくのを確かめるように、皇が深く唇を重ねた。 もう……何だか、わかんない。 必死に皇にしがみついた。 「辛いか？」 小さく、何度も首を横に振った。 「はぁっ……あ、あ……」 つらい……に似てる。 でも……全然違う。 何て言ったらいいのか、わかんないよ。 だってこんな風に触られるの……お前が、初めてなんだから。 「青葉……」 「はっ……あ、んっ！」 内臓を撫で上げていた指が……オレの中から出ていった。 「はぁっ！」 皇の指を咥えていた下半身が、痙攣してる。 手を膝裏に入れられて、大きく体が震えた。 足を上げられてすぐに、皇のペニスが……オレを貫いた。 「んあぁっ！」 「辛いか？」 首を横に振ると、皇はオレの髪を撫でてキスをした。 そのあと、皇がゆっくりと腰を動かし始めたところまでは覚えてるけど……意識が飛んだわけじゃないのに……皇に包まれてたことしか、覚えてない。