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パリは萌えているか⑧
ジルに会ったせいで、予定よりだいぶ長くマルシェにいたオレたちを置いて、他の四人はすでに本日の観光に出掛けていた。
リビングのテーブルに『ロダン美術館に行って来ます。帰って来たらこっちに来てよ。今日は美術館の近くでランチにしよう♡』と、サクラの可愛い文字で書かれた手紙が置かれていた。
「荷物を置いたら、美術館に……」
そう言いながら振り向いたオレを、キッチンの壁に追いやった皇は『そなたには仕置きが必要だと言うたであろう』と言いながら、見下ろした。
「だっ、だって!ジルは幼馴染で!今までそんなこと、言われたこと、なかったし……」
「そなたを狙っておると言うたに……余の忠告を聞かず、そなたはあのような不埒な輩の腕に落ちたのだ」
「落ちてない!」
「余がおらねば、そなたはあの者に接吻されておった」
「接吻って……」
「接吻がわからぬか」
皇はオレの唇を包むようにキスをした。
……お仕置き、じゃ、ないの?
全然、叱られてる気がしないキスに……恥ずかしくなる。
「……知ってるよ」
「余がおらねば、あの者がそなたにこのように触れたかと思うと……はらわたが煮えくり返る!」
皇は、もう一度オレにキスをした。
怒ってる風なことを言ってるのに、やっぱり優しく触れてくる唇に、胸が締め付けられて……苦しい。
「そのような顔……他の者に見せるでない」
何度も唇を重ねられて、壁に押し付けられていても、足が震えて、立っているのが辛くなる。
二人きりでこんな風にされたら、どうしたって……体はどんどん、熱を帯びていく。
みんなはまだ帰って来ないだろうけど……。
そう思った時、頭の奥にチラついたふっきーの顔が、オレの熱を一気に下げた。
「……やだ」
さらに唇を重ねようとする皇から、顔を逸らした。
「そなたに嫌がる権利などない」
顎を掴んだ皇が、有無を言わさず唇を重ねた。
「そなたは人からどのように見られておるか、自覚致せ。そなたをこのように腕に抱きたいと思う輩が、どれほどおるか……」
皇の唇が、首筋に下りていった。
「ふっ、ん……」
「そなたは……人を惹き付ける」
首筋にキスを落としながら、皇の指はオレのカーディガンを脱がすと、シャツのボタンを外し始めた。
「はぁっ……あ……っ」
首筋から耳を喰むようにキスされて、ボタンを全て外されたシャツが開かれた。
腰骨を撫でられて、身体が跳ねる。
震える両足を膝で割って、皇の指が脇腹をなぞって、乳首に触れた。
「んっ!」
「誰がそなたを求めても、そなたは余以外、求めてはならぬ」
オレのズボンのファスナーを下ろして、皇は下着の中に手を入れた。
ついっと陰茎をなぞって、亀頭を包み込んだ皇の手の中で、ビクビク動くペニスに一気に熱が集まっていく。
「やっ、め……」
「せめて余の忠告は素直に聞け」
皇は乳首にキスをして舌で転がすと、そのまま痛いくらいそこら中に吸い付くようなキスをしながら、壁に押し付けられて、中腰になっているオレの前で、ゆっくり床に膝を付けた。
握ったままのオレのペニスを下着から引き摺り出して、躊躇うことなく、亀頭を咥えた。
「ひゃうっ!」
あまりにビックリして、変な声を上げてしまった。
だって……嘘!
「やだっ!……やだ!皇!そんなのやだっ!」
口で、とか……そんなの!だって、汚いよ!やだ!やだ!
逃げようと腰を捩ると、皇に太ももを壁に抑え付けられた。
亀頭の割れ目に舌を差し込まれて、ガクガクと身体が震える。
太ももを抑え付けていた皇の手が、オレを支えるように腰に回された。でももう、自分の足で立っていられない。
壁に押し付けられた背中が、ズルズルと床に崩れ落ちていった。
「はっ、あ、あ、やっ、す、めらぎ……」
気持ち良さと羞恥心で、頭の中がグチャグチャに溶けそう……。
熱い。
小刻みに震え続ける身体を、座らせていることも出来ずに、床に背中を付けた。
皇は体制が変わっても銜えているオレのペニスを離さない。更に深く咥え込んで、ゆっくり上下し始めた。
「やあっ!……はっ、あ、はっ、はあっ、あ、あ、はっ……やっ」
こんなの……ダメだよ!
なのに、体はどんどん快楽を求めて、熱くなっていく。
明るい部屋の中、丸見えなのが恥ずかしくてギュッと目を瞑ると、頭の中には、皇の口でねっとり舐め上げられる快感だけが残って、すぐにイキそうになってしまった。
「やだっ!離して!皇っ!」
出ちゃう!
口の中に出すとか、絶対ありえない!
皇の頭を引き剥がそうと手を伸ばすと、手首を掴まれ剥がせない。
「仕置きだと言うておろう」
皇はそう言うと、オレのペニスを大きく吸い込んだ。
「んああっ!やだ!離してっ!皇!……皇、お願ぃ……」
半べそをかいてそう言うと、皇はスッと口を離した。
その瞬間、オレは思い切り射精した。
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